イノベーションを斬る

「自由」と「規律」のバランスが組織を強くする日本的な組織力を取り戻すためにリーダーは何をすべきか

2010.09.29(水)  軽部 大

 『平成19年版国民生活白書』(内閣府)では、会社に対する帰属意識と職場への貢献意識に関する調査結果が報告されている。

 1995年と2000年の比較から明らかとなるのは、会社に対する帰属意識が「そもそもない」という回答が増加し(18.4%→23.7%)、そのような意識が「薄れた」という回答も増加している(19.4%→32.2%)。

 また、会社への貢献意識が人一倍強いと肯定的に回答した回答者の割合は、年齢が若くなるほど低下する傾向が見られる。60代以上では72.9%にも達しているが、20代以下では21.8%にとどまっている。

 個人と組織の関係が、かつての「終身の関係」(lifetime commitment)を前提とした盲目的な忠誠心で結びつけられたウェットな関係ではなく、個人の主体的な選択(組織に帰属するか否か、組織に留まり続けるか)を前提としたドライな関係となってきたのである。

 このような個人と組織の関係の変化は、日本企業のかつての強みとされた集団凝集性を低下させることとなる。

 集団凝集性を低下させる構造的変化は、それだけではない。事業成長に伴う組織規模の拡大そのものが、組織の集団凝集性を低下させるのである。

 具体的には、創業間もない小さな企業が事業で大きく成功し、従業員の増加とともに組織としてのまとまりを失っていくことを想像してみればよい。

自由と規律のバランスを取るのがリーダーの仕事

 このように、日本企業を取り巻く近年の環境変化のいずれもが、組織としての集団凝集性を低下させるものである。

 このような状況下で、組織のリーダーが、組織の集団凝集性を高めるために愛社精神や会社への忠誠心を訴えることは逆効果である。部下から見ると、近年の変化を認識できない「時代錯誤のリーダー」としてしか映らないからである。

 組織運営上の対応策を考える際に鍵となるのは、分権化や任せることで個人の主体的工夫を促す施策(自由)と、個人の工夫を束ねて戦略的に方向付ける施策(規律)のバランスである。

 言い換えれば、組織成員の自律性を圧殺することなく、現場の主体的な工夫を組織成果として束ね、さらに将来に向けて個々の成員の努力と注意の焦点を方向付けるという一連のプロセスをいかに実現できるかにかかっている、とも言えるだろう。

 もっとも、この自由と規律のバランスは、ひとたびどちらかに傾き過ぎると組織の凝集性を低下させることになりかねない。

 例えば、組織のリーダーが部下に対して、一方的に詳細な具体策を練って、事細かな指示まで行うことは、ともすれば「自由なき規律」として部下の組織への主体的な貢献意欲を減ずることとなる。部下からすると権威的で命令的なリーダーとして映るからである。

 それとは逆に、成員に対して具体的な方向性を提示する…

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