オープンイノベーションは「魔法の杖」ではない

明快な目的意識が何よりも大切

米倉 誠一郎/2018.9.27

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 一口に「オープンイノベ―ション」と言っても、その形はさまざまだ。スタートアップと協業する企業は、どのような枠組みや手法を選択すればいいのだろうか。イノベーション研究の第一人者、米倉誠一郎氏が、経営学、経営史の観点からオープンイノベーションの手法の考え方と、実際に進める際の留意点について解説する。(JBpress)

どのような枠組みで進めるか?

 今、なぜオープンイノベーションなのか? 前回(「今、なぜオープンイノベーションの時代なのか」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54118)はその答えとして、外部の知識や経営資源を使ったほうが、より速く、より安く、より効果的に新しいイノベーションを遂行できる社会経済環境が出現したことを説明した。

 不確実性下での技術商品開発を迅速に進めるには、外部の経営資源を利用あるいは協力したオープンイノベーション戦略が強力な手法となる。しかし、どのようなオープンイノベーションのモデルを採用し、企業情報のどれくらいをオープンにするのかという問題が残っている。

 オープンイノベーションの手法として、技術や知財権を市場取引することだけが正解というわけではない。そうした技術を持つ企業と連携することもあり得るし、M&Aを通じて買収合併してしまうこともあり得る。どの選択肢を取るのかは、以下に述べる知識と金銭の流れに依存しているのである。

オープンイノベーションの4つの形

 オープンイノベーションを類型化する、第1の分類方法は知識の流れる方向による分類である。