最近、ある本を読んで「断捨離(だんしゃり)」という言葉を知った。ヨガの「断行・捨行・離行」という行法から生まれた言葉である。

 あらゆるガラクタを片付けて、心のガラクタも整理することを意味する。実践することで「気」の流れがよくなるという。

 読めば読むほど、システム構築も全く一緒だと思った。システム構築でも過去の執着を一切捨て去ることが必要だ。「断捨離」をシステム構築に当てはめてみると、どうなるだろうか。

「断」・・・いらない情報(データ)は持たない

 情報(データ)は、データベースツールが登場してから飛躍的に管理することが容易になった。データの格納容量もテラバイト単位になり、何でもかんでも保管して、莫大な情報を保持するようになっている。

 だが、情報を持っていることに価値があると勘違いしているユーザー企業は多い。情報は活用して初めて生きるのである。

 新システムの構築時には「断」を行い、いらないデータは捨てることである。これから入ってくる情報についても、できるだけデータベース内に持たないようにすることが大切だ。

 当社の開発案件の話だが、新システムへのデータ移行時に、あまりにもデータ項目が多くて閉口してしまったことがある。なんでもかんでも持ちすぎているのである。

 明らかに不要と思われるデータもあるが、「とにかく全部データを移行してほしい」という。理由は、「いつ、そのデータが生きてくるか分からない」から、とのことだ。いつ生きてくるか分からないものは捨て去った方がよい。

 システム再構築時の一番のポイントは、データ項目数を減らして、必要最小限のデータだけを新システムに移すことである。

 また、設計時にエンドユーザーにヒアリングすると、膨大な機能要望が出る。そのほとんどが本当に必要なものではなく、「あると便利、作業が楽になる」という程度のものである。それらを「絶つ」ことも必要である。

「捨」・・・使わなくなった機能を取り去る

 ユーザーは、今まであった機能を、当たり前のように新システムにも盛り込もうと考えがちだ。しかし、日常業務の中で週に1回、月に1回しか行わないような業務は、システム化しない勇気が必要である。

 例えば、エンドユーザーから言われるがままに帳票システムを設計するようなプロジェクトマネジャーは、一昔前の技術者である。5年も経てばビジネスモデルも様変わりし、帳票類も変わってくるものだ。今は使わない帳票もあるだろう。まとめられる帳票はできるだけ1つにまとめるべきである。