「カレーは健康に良い食べものか」
このように質問されたらどう答えるだろうか。カレーには野菜や肉が具材に使われるほか、体を温めて発汗作用を促す生姜や、滋養強壮を高めるニンニク、さらに胆汁の分泌を手助けするウコンなどといった、何種類ものスパイスが使われている。
スパイス単体の効果を聞けば「カレーは身体によさそうだ」というイメージをもつ方が多いのではないだろうか。
しかし、日本で売られている一般的な市販のルーには油脂や小麦粉が多く使用されており、家庭で作ったカレーでもカロリーは意外に高くなる。高級レストランやホテルで提供される欧風カレーも、野菜や肉を長時間煮ることで得られる煮汁「フォンドボー」を使用し、濃厚な味付けが魅力だが、カロリーが高いのが実状だ。
では、インドカレーはどうか。街なかで見かけるインドカレーの多くは、チキンやマトン(羊肉)といった肉をメインに、バターや生クリームを使用した濃厚なカレーだ。そこに小麦を原料とした「ナン」や「チャパティ」とよばれる平らなパンを浸して食すスタイルが多い。
これはインドでも主に北の地方で食べられるカレー料理であり、辛さはマイルドでこってりとした濃厚な味わいが特徴だ。日本でも最近ではランチタイムになると、「メインのカレー1種類にナンはお代わり自由でワンコイン(500円)」などと安価なセットを提供する店も登場しており、サラリーマンの人気を呼んでいる。
ただし、この北部地方のインドカレーは生クリームやバターを多く使用しているため、カロリーも高い。つまり、これらのカレーはいくら身体によさそうな香辛料を使っているといってもカロリーが高いわけで、また油の多い料理という印象が拭えない。
そんな多くの日本人が持つイメージを覆すようなカレーが、いま注目を集めている。
ヘルシーなカレー、南インドの「ミールス」
あまり知られていないが、インドのとくに南に位置するカルナータカ州、アーンドラ・プラデーシュ州、ケララ州、タミル・ナードゥ州などでは、他とは少々違うカレーが主流だ。