米で生中継中に銃撃、リポーターら2人死亡 容疑者は自殺

米南部バージニア州モネータでテレビの生中継中に起きた銃撃の瞬間をとらえた映像からの1コマ。リポーターのアリソン・パーカーさん(左)は銃弾を受け死亡した(2015年8月26日撮影)〔AFPBB News

 米社会をまたしても恐怖におののかせたバージニア州の射殺事件――。

 地元テレビ局のリポーターとカメラマン(ともに白人)が26日早朝、生中継中に同じテレビ局の元リポーターの男に射殺された。

 撃たれた瞬間が映像で捉えられたことで、改めて銃社会の現実を突きつけられた感が強い。ベスター・フラナガン容疑者(黒人)は自殺した。

 同容疑者は自殺する直前、23ページに及ぶファクスを他局に送り、犯行の動機を公表。2013年にテレビ局を解雇された個人的な不満だけでなく、今年6月17日にサウスカロライナ州で起きた黒人教会での射殺事件に「怒りが増した」と記していた。

米国を悩ます銃と差別

 男は黒人教会事件の2日後、白人社会に報復するために短銃を購入していた。それから約2カ月間使う機会をうかがい、先週元同僚に銃口を向けたのだ。

 この事件は米社会の根深い2つの社会問題に再び光を当てることになった。

 1つは人種問題であり、もう1つは銃所有の問題である。当欄では銃所有の問題に焦点を当てたい。と言うのも、思わぬ展開を見せているからだ。

 バラク・オバマ大統領は事件後、「銃を使った犯罪があまりにもたくさん起きている。問題を抱えた人物や銃を所有すべきでない人物が、銃を手にしない社会を作るべきだ」と述べたが、現実的には解決の糸口さえ提示できていない。

 オバマ氏がやろうとしていることは銃規制の強化だが、実際には規制とは逆の動きが増えているのだ。皮肉な現実が数字となって表れている。

 数字を挙げてご説明したい。米国にはいま、銃が2億5000万丁から3億丁ほどあると言われている。正確に数字をつかんでいる機関はない。