米ニューヨーク市に住んでいる知人が興味深いメールを送ってきた。
「ハンプトンズの夏の貸別荘の家賃が100万ドル(約1億2300万円)を超えています。異常と呼んで差しつかえない値段です」
ハンプトンズというのは、ニューヨーク州ロングアイランドの東端に位置する海浜の高級住宅街で、ニューヨーカーの夏の避暑地として多くの別荘が貸し出されている。
5月下旬の祝日から9月初旬の祝日までの3カ月半の借り賃として、1億円超を払う人がいるというのだ。メールの返信として、ハンプトンズの貸別荘の平均価格を聞くと、約4万5000ドル(約553万円)との返事がもどった。一般勤労者の年収を超える額である。
どこの国にも富裕層、しかも「超」の一文字がつく人たちは確実にいる。少し調べると、ハンプトンズに建つ一軒家の平均価格は176万ドル(約2億1600万円)だった。
デジタル革命が引き起こした格差拡大
全米で最も高額とも言われる住宅街なのだ。歌手ビリー・ジョエルやジェニファー・ロペス、俳優リチャード・ギア、映画監督スティーブン・スピルバーグなど、多くの著名人が家を構えている。
著名人だけではない。ウォールストリートで金融業界に携わる人や製薬企業の役員など、経済的な勝ち組たちの居住地でもある。勤労者の実質所得がそれほど上昇していない中、富裕層の収入は上向いており、さらなる社会格差が広がっている。
富裕層を読者対象にした米雑誌ヴァニティ・フェアのグレイドン・カーター編集長が誌面で指摘している。
「私は今の時代を『マネー世代』と呼んでいます。中国マネーをはじめ、ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ(未上場企業の株式取引)、ヘッジファンドなどの運用比率はデジタル革命によってさらに加速しているのです」