「今後10年以内にイランがイスラエルを攻撃したら・・・。その時に私が大統領だったら、イランを軍事攻撃します。そのことをイラン人は知っておいてほしい」
まぎれもなく2016年の米大統領選に出馬しているヒラリー・クリントン前国務長官(以下ヒラリー)が発言した言葉である。ただこの過激な発言は、ヒラリーが2008年大統領選に出馬した時、米ABCニュースとのインタビューで答えている。
あれから7年が経った今月4日、遊説先のニューハンプシャー州で「イランの存在そのものが脅威」と述べ、改めてイラン脅威論を口にした。
軍事攻撃というフレーズこそ使わなかったが、イランが現在進めている核開発計画を中止させる強い意志を表した。しかも米メディアの中には、イランが今後イスラエルを攻撃した時、ヒラリーは2008年時と同じように黙っていないといった報道をするところもある。
イランを信用しないヒラリー
イランは現在オーストリアのウィーンで、国連安全保障理事会常任理事国(英米仏中ロ)とドイツ、欧州連合(EU)と核問題で協議を進めており、最終合意へと動いている。これは国際社会が採る正攻法の動きだ。
先進国側はイランのウラン濃縮活動を制限し、国際原子力機関(IAEA)の厳格な査察を受け入れさせるつもりである。それと交換条件として、対イランの経済制裁を解除するという内容だ。
米国だけでなく、ヨーロッパ諸国はイランの核武装を警戒しているが、イランは原子力の平和利用との主張を繰り返している。核兵器開発はしていないとの言い分だ。
だがヒラリーはイランの主張を信用していない。むしろ、イランはイスラエルに核攻撃を仕かける可能性が低くないと踏んでいるようだ。
ヒラリーはなぜ頑ななまでにイランを敵視し、イスラエルを擁護するのか。その理由は2008年、ヒラリーが米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の年次総会に招待された時の講演内容から読み解ける。
AIPACというのは全米ライフル協会と並ぶ米国で最大級のロビイング団体である。米国内に住むユダヤ系米国人だけでなく、米国の外交政策がイスラエルの利益になるように促す組織と言って差し支えない。