多国籍合同訓練「ドーンブリッツ2015」においてサンディエゴ港に入港するイージス駆逐艦「あしがら」。合同訓練への参加には、もちろん多大な費用がかかる

 来年(平成28年)度の防衛費概算要求額が5兆911億円と過去最大の要求額となった。本年度当初予算に比べて2.2%増加しており、4年連続で国防予算は増加することになる。

 概算要求の詳細な内容が伝わる以前の段階ではあるが、米軍関係者の間では日本の国防予算の額ならびに増加率に関してちょっとした議論がかわされている。

 日本周辺の軍事情勢に関心を持っている人々の間で、日本がMV-22ティルトローター輸送機、F-35A戦闘機、AAV7水陸両用強襲車、E-2D早期警戒機、グローバルホーク無人偵察機などのアメリカ製高額兵器を多数調達することになっているのは周知の事実である。このような高額兵器の“買い物リスト”を承知しているため、日本の国防費が増大していくのは当然と思われており、アメリカをはじめ世界的に国防費が圧縮傾向にある中で日本の国防費が“順調”に増加していることに疑問を感じている人々は見当たらない。

 関心が持たれているのは、「いくら国防費が増加しているといっても、日本の軍事予算はわずか410億ドルにしか過ぎないではないか」という国防予算の規模に関する点である。

中国に比べて日本の国防予算規模は小さすぎる

 概算要求額は確かに5兆911億円史上最高額ではあるものの、ドル高円安の影響で410億ドルと、数年前のドル安円高の時代に比べるとドル換算では目減りしている。例えばストックホルム国際平和研究所の2015年度各国国防費データでは、現在ほどドル高が進んでいなかったため、日本の国防費はおよそ450億ドルとなっている。