「中国はアジア太平洋地域での主権紛争において“目に見えない形での脅迫”を用いている」──。
アメリカ戦略軍司令官セシル・ハネイ提督が、先週、アメリカ連邦議会上院軍事委員会で証言した。
「中国は地上移動式発射装置から発射される新型大陸間弾道ミサイルを開発しており、アメリカとその同盟国に対する脅威はますます高まりつつある。また、北朝鮮も潜水艦発射型弾道ミサイルの開発を進めていることを確認した」
この種の情報はすでに数週間前からアメリカ軍事専門誌などで取り上げられていたが、アメリカ国防当局が公式に確認したことになった。
ICBM戦力を強化する中国
ハネイ提督の議会証言によると、中国戦略軍(第二砲兵)はサイロ発射式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)から、新型地上移動式発射装置(TEL)から発射されるICBMへのシフトを加速させている。新型TELの開発と同時に、多弾頭搭載の新型ICBM、東風31B型(DF-31B)の開発にも成功したものと思われる。
TEL発射型ICBMの動向を把握するのは至難の業である。そのため、サイロ発射式からTEL発射式のICBM、それも多弾頭搭載ICBMが主流になることは、アメリカにとって中国の核戦力の脅威が飛躍的に高まることを意味している。