本記事は2月2日付フィスコ企業調査レポート(タナベ経営)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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中堅企業向けコンサルティングが好調、強固な財務体質に強み

 タナベ経営<9644>は、中堅・中小企業向け経営コンサルティングの大手。事業戦略の立案から経営システムの構築、人材育成まで経営全般にわたるコンサルティングを地域密着で全国展開している。また、地域金融機関や会計事務所等130以上の提携先に対して顧客支援サービスを提供するネットワーク事業や、法人向けセールスプロモーション事業(以下、SP事業)にも注力している。堅実経営と無借金経営、自己資本比率で80%超となる強固な財務体質を強みとする。

 2015年3月期の第2四半期累計の業績は、売上高で前年同期比4.0%増の3,365百万円、経常利益で同9.7%増の334百万円と増収増益基調が続いた。同社が顧客対象とする中堅・中小企業において、経営戦略や事業承継などのニーズが増大しており、コンサルティング契約に相当する経営協力契約数が2014年9月末で417社(前期末406社)と順調に拡大したことが収益のけん引役となった。戦略ドメイン&マネジメント研究会など各種研究会への参加をきっかけに、経営協力契約に結び付けていくという戦略も奏功した。また、ネットワーク事業やSP事業も増収となり、事業全体が堅調に推移したと言える。

 2015年3月期の業績は売上高で前期比4.1%増の7,890百万円、経常利益で同2.8%増の730百万円と期初計画を据え置いている。通期計画に対する経常利益の進捗率は45.9%となっているが、同社の収益は下期偏重型となっていることから、今後市場環境に変化がなければ、利益ベースでは若干の上乗せ余地があるとみられる。2016年3月期に向けた新たな取り組みとしては、提携する地域金融機関が抱える中小企業約7,500社を直接対象としたコンサルティングサービスを強化していく。人材育成や事業承継などの経営戦略分野だけでなく、セールスプロモーションなどの販売戦略分野も含めたコンサルティングサービスを一気通貫で提供できる強みを活かしていく。「地方創生」が国の成長戦略の重要テーマとして位置付けられるなかで、地域密着型で全国各地域に事業基盤を有する同社にとっては、中堅・中小企業の変化と成長を支援する戦略パートナーとして、成長機会の増大につながるものとして期待される。

 同社は中期経営計画として、2020年3月期に売上高10,200百万円、経常利益1,050百万円を新たな目標として打ち出した。企業の戦略パートナーとしてコンサルティングニーズを事業戦略、組織戦略、地域戦略の3方向から掘り起こしていき、ロイヤルカスタマー(継続的な顧客)を増やしていくことで、目標の達成を目指していく。株主還元策としては、今後も配当性向60%(特別損益の影響を除く)を維持していく方針で、収益の拡大とともに配当成長も期待される。

Check Point

●2Q累計の売上高では過去最高を更新、増益基調を持続
●通期は期初計画を据え置く、利益上乗せ余地も
●15/3期は3期連続の増配予定

事業概要

利益の9割を生み出すコンサルティング事業が主力

 同社の事業セグメントはコンサルティング事業、ネットワーク事業、SP事業の3つの事業に分かれている。2014年3月期の売上構成比を見ると、コンサルティング事業とSP事業でそれぞれ47%強を占めているが、営業利益ではコンサルティング事業が88%と大半を占めており、同事業が収益柱となっている。以下に各事業の概要について紹介する。