あっという間に1カ月が経ってしまった。前回「中国株式会社の研究」を掲載したのは1月20日。忘れもしない、あの極悪非道のIslamic State(以下IS)がオレンジ色の「囚人服」を着た湯川遥菜、後藤健二両氏の衝撃的映像を公表した、まさにその日だった。
爾来、来る日も来る日も、世の中の関心はIS関連ニュースばかり。正直なところ、筆者も過去1カ月間は中国にまで手が回らなかった。
一方、中国は中国で、中東情勢を固唾を飲んで見守っていたはずだ。北京はISに参加した数百人とも言われるウイグル人の動向を強く懸念していたに違いないからだ。
こうした中国外交の不気味な静寂は春節明けの2月23日に破られた。同日中国の王毅外交部長が国連安全保障理事会で、具体的国名こそ言及しなかったものの、「過去の侵略の犯罪を取り繕おうとする試み(attempts to whitewash past crimes of aggression)」に対し警告を発したと報じられたからだ。
日本ではこれが2015年の中国による「対日プロパガンダ外交のキックオフ」だと受け止められている。というわけで、今回は第2次大戦後70周年の中国による反日キャンペーンの実態と日本側のあるべき対応振りについて考えてみたい。
中国外交部長の発言
ニューヨーク発共同通信英文ニュースによれば、2月23日に開かれた国連安保理で王毅外交部長は次のように述べたそうだ。
中国語の原文が未入手なため、ここでは英語版をベースに検証する。一部日本メディアには「whitewash」を「歪曲」と訳していたが、ここでは英語のニュアンスを尊重して和訳した。
「(王毅外交部長)反ファシズム戦争の歴史的事実が明確になって久しいにもかかわらず、依然として一部に、真実を認めたがらず、審判を覆そうとしたり、過去の侵略の犯罪を隠して取り繕おうとしたりする者がいる」
(Although the historical facts have long been made clear on the war against fascism, there are still some who are reluctant to recognize the truth and even attempt to overturn the verdict and whitewash past crimes of aggression.)