1月7日正午前、パリ11区にある風刺週刊誌「シャルリー・エブド」本社をイスラム過激派兄弟2人組が襲撃し、警官、編集長、風刺漫画担当者を含む12人を射殺した。翌日、翌々日には別のテロ犯が警官と人質5人を殺害した。

 欧米と中東を揺るがす大事件だったが、中国側の反応もなかなか興味深い。というわけで、2015年初となる今回は欧州でのイスラム過激派テロに対する中国の動きを取り上げる。

ブルカ禁止法を導入した中国

イスラム最高権威、仏紙風刺画を批判 「憎悪かき立てる」

仏風刺週刊紙「シャルリー・エブド」を読む人〔AFPBB News

 今回「さすが」と思ったのは中国側の素早い行動だ。

 「新疆ウイグル自治区のウルムチ市内でイスラム女性の伝統的衣装である『ブルカ』の着用を禁止する法案が可決された」と報じられたのはパリでのテロ事件発生からわずか3日後。

 同決定は1月10日付の新疆ウイグル自治区第十二期人民代表大会常務委員会第13回会議を通過し、関係者の意見を踏まえ適宜修正の上で正式に公布されるという。

 この新疆ウイグル自治区のイスラム教徒を狙い撃ちするような規則をウイグル人はどう感じているだろうか。筆者には、フランスの「ブルカ禁止法」に倣って対イスラム教徒弾圧を強める「便乗措置」としか思えない。

 中国には2001年の9.11直後にもウイグル人に対する弾圧を強化した前科がある。しかも今回は、一体何が禁止されたのか、誰にも分からない。その理由から説明しよう。