後藤健二さん「も」救えなかった。それ以前にも身代金要求の人質事件はいくつもあった。また、イラン・イラク戦争中の邦人215人の救出(1985年3月19日)は、トルコに依頼してタイムリミットの1時間15分前に叶った。在ペルー日本大使館占拠事件(1996年12月17日発生)では日本の強い平和的解決の要求で落着に4か月余もかかった。

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後藤健二さんが殺害されたニュースを伝える大型スクリーン(2015年2月1日)〔AFPBB News

 許せないのは北朝鮮による日本人拉致事件である。主権も人権も無視した北朝鮮の国家犯罪であるが、860人余とも見られる被害者をいまだに取り戻すことができない。

 そのたびに邦人救出や国内外でのテロ対処などが問題視され、情報収集体制を含めた法整備の必要性が浮かび上がるが、憲法がネックになり諸事進捗しない実情である。

外堀を埋めつつある自民党

 自民党の憲法改正推進本部長である船田元衆議院議員は、2月4日に安倍晋三首相と会談して憲法改正の進め方について協議した。

 その結果も踏まえた12日の施政方針演説で、首相は「憲法改正に向けた国民的な議論を深めて行こうではありませんか」と国民に呼びかけた。16日に決めた自民党の2015年の運動方針では「日本の文化・伝統・国柄に立脚し、憲法改正を党是とした保守政党としての矜持」を改めて胸に刻まねばならないと強調している。

 同じく16日から始まった本会議でも、首相は「自民党は立党以来、憲法改正を主張してきた。3年前には憲法改正草案も作り、正面から訴えてきた。今後は憲法審査会の場で議論し、理念の深まりを踏まえて、憲法改正に取り組んでいく」と答弁している。

 船田氏が語った腹案は、現通常国会の衆院憲法審査会で、憲法のどこを変えるか議論し、与野党で章ごとに改正のポイントを協議する。地方公聴会も何か所かで行い、秋の臨時国会で最初の改正項目を絞り込む。来年の通常国会に憲法改正原案を提出、参院選後に改正の発議を行うというものである。