西側による経済制裁でロシアでの生活にはどんな変化が生じているのか――。今回は、筆者の目と体験を通してご報告させていただく。

 なお、本文記載事情は2015年2月22日までの事象である。また、価格表示はルーブルとさせていただいたが、2月23日のロシア中銀レートで、1ルーブル1.92円である。

到着

撤退した日本食レストランチェーン「ヤポーシャ」の一店。入り口にある東洋式の庇が痛々しい

 2か月近くの長い日本での業務を終えて、SVO空港(シェレメチェボ空港)に久々に降り立ったのは先々週の土曜日。

 東京からのアエロフロート機は、ほぼ満席だったが、そのほとんどはSVOでの乗り継ぎ客で、モスクワで降りる人は30人程度のようだ。日本人は非常に少ない。

 最近は若い女性が多い入国審査官にパスポートを渡し、一言二言言葉をかわすが、別に変わった様子もない。淡々と入国カードが準備されていく。

 荷物を受け取るべくターンテーブルで待っていると、寒々とした空気が漂う。心なしか、室内の照明がいつもより暗く感じられる。いよいよ経済制裁下のロシアに戻って来たのだと自分に言い含める。

 普段より多めの食品を詰めた3個のスーツケースを受け取り、税関のグリーンコリドール(無申告扱い)へ。1人で3個の大型スーツケースは目立つはずだが、税関には呼び止められることもなく、外に出る。

 土曜日のためか、交通量は少なく、渋滞に巻き込まれることなく、モスクワ北部の我が家に到着。

 途中通り過ぎるガソリンスタンドの表示は95オクタン価ガソリンが1リットル38ルーブルとなっていて、半年前に比べると10ルーブル以上の値上がりだ。