この暑い夏に北京からわざわざ6人の訪問者が東京にふらりとやって来た。中国共産党の中枢に所属する人々だ。どうしても話がしたいという。
シンクタンク稼業といえば、異なる考え方をする人たちと、ひたすら意を尽くして話をすること以外にはない。だから北京からの訪問者といえども歓迎である。いやいや北京からのお客様だからこそ大切にしたい。
おまけに、彼らが東京にわざわざ暑い夏に来ること自体にいろいろな意味があるのだろう。
終わってみれば、わずか1時間ほどの対話であったが、実にいろいろ考えさせられた。私たちの考え方と中国の人々の考え方の違いのことである。
本稿では、ぜひ皆さんと一緒にその違いのもたらす意味合いについて考えたいと思う。
「中国脅威論」は間違っている?
冒頭、筆者からは次のように述べて、中国共産党関係者の東京への訪問を歓迎した。
「皆さんの来訪を歓迎する。日中はもはや建前の議論をしているゆとりはない。私たちは腹を割った本音の対話をする必要がある」
「この夏、ちょうど100年前、欧州各国の政治指導者の判断の誤りの結果、第1次世界大戦が開始されたことを私たちは想い起こすべきだろう」
「現在、日中関係が最悪になっている状況下で、これ以上の関係悪化を回避することがぜひとも必要である。戦後、日中が誓った『不戦の誓い』を改めて考える必要があろう」