安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を容認する決断を表明するや、直ちにアメリカのヘーゲル国防長官は歓迎する公式コメントを発した。
【アメリカ国防長官の集団的自衛権行使容認に関するコメント(7月1日)】
「私は、集団的自衛権に関する日本政府の新しい方針を歓迎いたします。これによって、自衛隊が幅広い作戦活動に従事できるようになるであろうし、日米同盟はより一層効果的になるでしょう。この決定は、地域的そして世界的な平和と安全保障により大きな貢献をなそうとしている日本にとって重要なステップです。同時に、新しい方針は、防衛協力の相互ガイドラインを修正することによって日米同盟関係の近代化を図ろうとしている我々の努力を補うものです。
米国は、アジア太平洋地域の平和と繁栄に対して持続的に関心を持ち続けています。そして、日米同盟はこの地域に対する米国の戦略にとって極めて重要です。私は、来週ワシントンD.C.を訪れる小野寺(五典)防衛大臣と、日本の決定に関して話し合うことを楽しみにしております」
アメリカ政府が歓迎するのは当然
“アジアピボット(アジアへの回帰)戦略”を掲げているオバマ政権が、安倍首相による集団的自衛権行使容認という決定を支持するのは当然である。というのも、いくらオバマ政権がアジア重視政策を推進したくとも、大幅な国防費削減を実施中のアメリカ財政状況では、とてもアジア太平洋地域のアメリカ軍戦力を増強するわけにはいかない。ここで言う「戦力増強」というのは、長射程ミサイル戦力ならびに海洋戦力の強化が著しい中国軍事力に対抗し得るだけ強力な“増強”という意味である。そのため、アメリカとしては、アメリカ財政状況が好転して国防費削減状況から脱去できるまでの期間は、同盟国にアメリカがこれまで果たしてきた軍事的役割を少しでも多く肩代わりしてもらいたいのだ。
このような“猫の手も借りたい”状況に直面しているアメリカ国防当局にとって、最も期待できるのは日本とオーストラリアということになる。もちろん、それ以外のアジア諸国の協力も必要ではあるが、軍事力の規模という点からは、なんといっても自衛隊とオーストラリア軍にアメリカ軍の肩代わりを期待せざるを得ない。