マット安川 イラク問題が再燃し、日本では集団的自衛権を巡る議論が白熱する中、ゲストに藤井厳喜さんを迎え、国際情勢や日本の現状について、幅広くお伺いしました。

反日は中国と朝鮮半島だけ、世界の多くの国は親日である

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:藤井厳喜/前田せいめい撮影藤井 厳喜(ふじい・げんき)氏
国際政治学者。未来学者。詩人。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、米国クレアモント大学大学院で政治学修士号取得。ハーバード大学政治学部大学院へ進み、政治学博士課程修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員、政治学部助手を経て帰国し、テレビ・ラジオのキャスター、コメンテーターなどを務める。『日本人が知らないアメリカの本音』『アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門』など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

藤井 朝鮮半島と中国の反日の話題ばかり見ていると、なんか日本はアジアから嫌われているとか孤立しているとか思う人がいますが、これは誤解です。

 また、そういう言論を煽る人やメディアが多い。しかし、朝鮮半島と中国を除くと、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国の多くは日本が好きだと言っているし、中東でもアラブの国は割と日本に好感を持っています。トルコなどは大親日国です。

 米大陸でもメキシコ以南のラテンアメリカでは日本のイメージはいい。ペルーでは2016年に大統領選がありますが、元大統領のフジモリさんの娘が大統領の最有力候補です。これはどういうことかというと、ペルーは日系移民はそんなに多くないですが、日本人は正直で勤勉、頼りになるという評判が100年以上ラテンアメリカでは定着しているんです。

 ブラジルは日系移民が多く有名ですが、日本人は「ジャポネス・ガランチード」(保証つきの日本人)と呼ばれています。英語で言う「guarantee」、要するに信用できるということです。そういうふうにおしなべて日本の評判はいい。そういうことを知っていただくと、日本人も自信が持てるんじゃないかと思います。

中国は民主化の約束を守らなかった。いまこそ批判すべし

 かつて中国の鄧小平さんが日本に来た時、日中はすごい友好ムードでした。いまでは考えられないですが、中国は人口が多く貧しい国で、我われもなんとか中国が経済発展するのを助けたいと、日本人のほとんどがそう思っていたのではないかと思います。

 その時に鄧小平さんが言ったのは、いますぐ民主化するのはムリですと。とにかく貧しいので、ある程度豊かにならないとデモクラシーなどできない。フィリピンや韓国でも開発独裁があったように、中国もしばらくは政治の安定が大事で、経済が発展すれば20年後には我われももう少し自由な民主的な社会ができると思うから、待ってくれと言われた。

 だから我われは待った。それだけではなく、ものすごい経済援助もして技術も供与した。それで中国はよくなったのかといえば、貧富の差はどんどん開いていくし、言論の自由、政治的自由は全然認められていない。