安倍晋三首相が集団的自衛権に関連して、「日本の国民生活にとって必要不可欠なシーレーンにおける、機雷除去活動も視野に入れるべきである」との発言をした。
ペルシャ湾と日本を結ぶオイルシーレーンの第一のチョークポイントであるホルムズ海峡が、イランが敷設する機雷により封鎖された場合を想定しての発言のようであるが、実は日本周辺海域でも中国海軍による機雷戦(機雷を敷設する作戦)の脅威が高まっている。
東シナ海や南シナ海での軍事紛争、とりわけ台湾を巡って中国が軍事力行使に踏み切った際には、台湾救援に駆けつけようとするアメリカ海軍空母打撃群やアメリカ海兵隊を積載する水陸両用即応群などは、中国海軍によって敷設される膨大な数の機雷によって行く手を阻まれてしまうことになる。対機雷戦能力が貧弱なアメリカ海軍がもたついている間に、人民解放軍は台湾(あるいは先島諸島)を“解放”してしまうことになりかねない。このシナリオは、自らの弱点を熟知しているアメリカ海軍では常識である。
アメリカ海軍最大の弱点とは
アメリカ海軍は伝統的に対機雷戦が苦手である。
艦艇や船舶の航行の安全を確保するために敷設されている機雷を除去する対機雷戦は、各種海軍作戦とりわけ沿海域での海軍艦艇の行動や水陸両用作戦にとっては極めて重要な役割を担っている。
だが、対機雷戦は危険な潜水作業などを必要とし、機雷処理中はわずかなミスにより機雷が爆発し、任務に当たる将兵や掃海艇なども吹き飛ばされてしまう極めて危険な作戦である。