マット安川 政治活動40年超――このたび議員引退を表明した田中慶秋さんを迎え、政界での歴史を振り返るとともに、身をもって味わった官僚主導の日本の現実もお聞きしました。

本気で改革を目指すと理不尽なバッシングを受ける

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:田中慶秋/前田せいめい撮影田中 慶秋(たなか・けいしゅう)氏
前衆議院議員、神奈川県第5区総支部代表。スポーツ全般・盆栽・釣り・料理など多彩な趣味を持ち、柔道は五段の腕前(撮影:前田せいめい、以下同)

田中 先日、次期衆院選に立候補しないことを発表しました。引退を決めたひとつのきっかけは、今春、旭日重光章を賜ったことです。天皇陛下にご苦労様でしたというお言葉をいただき、一区切りついたかと思いました。ともあれ、政治活動は今後も続けていきます。

 あまり思い出したくないのですが、法相辞任に至るまでに私が受けた一連のバッシングは理不尽なものでした。

 例えば(暴力団関係者の)仲人をした一件。私は年に150組くらいの仲人をします。田舎の人間ですから、頼むよと言われれば嫌とは言えません。それくらい引き受けると、中には式場に行って初めて新郎新婦の顔を見るようなケースもあります。そのときはまじめに仕事をしていても、10年後には変わってしまうということもあるのです。

 委員会を欠席したと責められた件にしても、いろいろな手違いの結果であり、私が意図して欠席したわけではありません。

 司法改革であろうと行政改革であろうと、本気で改革しようとするとそういう抵抗に遭うということです。行政改革のために税金の無駄遣いを徹底的に調べたときもそうでした。東京から横浜の自宅までへんな黒塗りの車がついてきたり、嫌がらせの電話がかかってきたりもしました。

 それでも正しいことは正しいと訴え続けないといけない。そうでないとこの国はおかしくなります。議員は引退しますが、これからも国民の目線でものを言っていくつもりです。同時に若い人を育てることにも取り組みたいと思います。

日本経済を支える中小零細企業にこそ手を差し伸べよ

 安倍(晋三)総理は盛んに景気がよくなったと言いますが、現実は違います。アベノミクスの恩恵が及んでいるのは大企業、それも輸出関連企業の一部だけです。日本企業の99%を占める中小零細企業は、今もたいへん苦しい状態に置かれています。