中国はロシアを引き込んで、東シナ海において日本とアメリカに対して挑発的な海軍演習を実施した。その際、2013年に中国が突然設定した東シナ海上空のADIZ(防空識別圏)を根拠に飛行禁止空域を宣言し、その空域に自衛隊情報収集機が侵入したとの口実で、戦闘機による極めて危険なスクランブルを実施した。

 中国の軍事的威嚇は日本に対してだけでなく、東シナ海と南シナ海を囲む中国周辺諸国に対しても執拗に繰り返され、ますますエスカレートしつつある。

 北米やオーストラリアなど(ヨーロッパ諸国では中国の海洋進出への関心はない)での対中戦略家や中国ウォッチャーなどの間で、このような中国の「対外強硬姿勢の本質」に関する評価は大きく2通りに分かれている。

周辺のあらゆる国に対して軍事的威嚇

 中国の大戦略に関してどのような見解を取る人々でも、中国による東シナ海ならびに南シナ海での昨今の動きに関しては「露骨に侵略的」という評価では一致している。

 まず、日本に対しては、尖閣諸島を巡って領土紛争が存在しているという状態を受け入れさせるために恒常的に尖閣周辺海域に公船を出没させたり、日本領空に向けて軍用機をひっきりなしに接近させたり、自衛隊艦艇や航空機に対して極めて危険な軍事的挑発行為を加えたり、突然一方的にADIZを設定したりと、ありとあらゆる強引な行動に打って出ている。