政府の規制改革会議の農業ワーキンググループが出した提言によって、農協は激震に見舞われています。

 農協関連で言えば、その骨子は以下のようなものとなっています。

(1)中央会制度の廃止。中央会を再定義して農業シンクタンクや他の団体になる。
(2)全農(農産物、資材販売などを行う総合商社的部門)の株式会社化。
(3)単協(いわゆる地元の農協)の専門化、健全化の推進。
(4)理事会(単協の取締役会)の見直し。
(5)組織形態の弾力化。
(6)准組合員の事業利用制限。
(7)行政が農協に安易に仕事を振らず、地域に存在する他の農業団体と対等に扱う。

 提言内容を一読し、提言をまとめたメンバーの顔ぶれを見ると、個人的にはさもありなんといったところでしょうか。

 正直なところ、いい線をついていると思えるところもあります。農業問題に関する提言はたいていそうですが、主張の一部は正しいということが多く、全肯定も全否定もできない場合がほとんどです。

頼りないJA全中の「本社機能」

 ただ1つ、今回の提言内容だけで判断するならば、この人たちは政治が全く見えていません。政治が見えていないと言うと、多くの人は、いわゆる「農村票」や農協の政治力を見くびっていると言いたいのかと想像されると思いますが、全く違います。政治目的と経済目的の違いが分かっていないということです・・・と言ってもたぶん9割方の読者には私が何を言っているのか理解してはもらえていないと思います。

 政治目的と経済目的の違いについてはおいおい書いていくとして、まず(1)の中央会制度の廃止について述べさせていただきます。