4月8日、WindowsXP(以下、XP)の正式なサポートが終了した。もちろん、パソコンが動かなくなるわけではないが、新たなセキュリティ対策を施すことが困難となるため、「ネットワークと接続していない環境で一切のアップデートなし」とでもしないかぎり、企業や官公庁などのオフィスでの正式な利用は困難となる。

 このXPのサポート終了は、実は多くのITベンダーにとって隠れた特需だった。消費税率アップの影にうまく身を隠して、ユーザーのパソコン資産更新に広く網をかけて一網打尽にする効果があった。増税、サポート停止のダブルパンチは、企業内での検討や見直しプロセスを大幅に短縮する効果が確かに見られたようだ。

 ただし、この話は見ようによっては、パソコン業界の「最後の晩餐」となる危険も否定できない。少なくとも、2001年のリリースから10年超、その安定性から企業パソコンのスタンダードの地位を不動のものとしてきたXPに匹敵するような大きなインパクトを持ち得る商売は、パソコン市場では当面、期待できそうにない。地デジ切り替え後のテレビ販売落ち込みに匹敵する中長期の販売落ち込みが予想される。

「パソコン更新難民」の発生 

 多くの人にとって、XPから「Windows7」あるいは「同8.1」への移行は、若干ギクシャクするかもしれないが、おそらくはそれほど時間をかけずに慣れてゆき、その洗練されたスタイルに馴染んでいくと思われている。

 ただ、一部で思惑違いが起きている。新たなPCというか、OS、アプリの変更に全く対応できない、途方に暮れた人たちが現れており、その移行をサポートする人たちとの間で無視できないコンフリクトが生じている。

 組織のITもしくはPCリテラシーの強化は、企業にとって終わりのない課題であるが、昨日までできていたことが、突然できなくなった、もしくはどうしてよいか分からない、若い同僚に説明を聞いても理解できない、といった声が出ているのは、従来の低リテラシー層とはやや様相が異なっている。