今回のオバマ大統領による日本・韓国・フィリピン・マレーシア歴訪の露払いとして、4月上旬にアメリカのヘーゲル国防長官が日本と中国を訪問した。その際に、ヘーゲル長官は中国人民解放軍海軍航空母艦「遼寧」を2時間以上にわたって視察した。
外国人乗艦者第1号としてヘーゲル長官が中国海軍空母に乗り込んだことを受けて、アメリカ軍関係者のみならずマスコミ等でも、中国海軍空母(「遼寧」だけでなく現在建造中の空母を含めた中国海軍航空母艦戦力)に関する議論(憶測・疑念)が再燃した。
米国で行き交う膨大な量の中国軍事情報
先週の本コラム(「アメリカのインド洋支配に挑戦し始めた中国海軍」)では中国海軍の攻撃原子力潜水艦を取り上げ、今週は再び中国海軍の空母戦力についての話題となったのであるが、米国ではアメリカ軍情報関係機関や東アジアを専門とするシンクタンクのみならず一般のマスコミ等でも、中国の軍事動向に関する膨大な情報が毎日のように飛び交っている。そのようなメディアにおいては、日本単独の軍事情報が取り沙汰されることはほとんどない反面、中国軍事情報は氾濫しているといった状況である。
前回の原潜に関する情報から今回の空母に関する情報の間の1週間(日本時間での4月13日の週)だけでも、枚挙にいとまがない論説や分析が軍情報関係メディアやシンクタンクそれに一般メディアなどで取り沙汰されている。例えば以下のような具合である。
「人民解放軍海軍がアメリカ海軍潜水艦を追尾するための音響探知システムの運用を開始した」
「東シナ海での日中対立にアメリカはどう対処すべきか」
「人民解放軍空軍のステルス戦闘機J-31開発状況」
「中国は何のために空母戦力を構築しているのか」
「在沖縄海兵隊司令官の尖閣に関するコメントに対する、東シナ海沖縄周辺での中国軍の優位性を強調した反発」
「人民解放軍が、いかなる戦闘にも勝利する態勢を固めている状況」
「南シナ海での中国海軍の優越によりもたらされる東アジアの極めて危険な状況」等々