望みの綱は「パイプライン」、
ウクライナ危機に打開策はあるか

国家間紛争を抑制するパイプラインネットワークの効果

2014.03.27(木) 藤 和彦
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かつてマルクスは『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』でこう書いた。「ヘーゲルはどこかで『すべての世界史上の大事件と大人物はいわば二度現れる』と言っている。ただ彼はこう付け加えるのを忘れた。『一度目は悲劇として、二度目は茶番として』と」。現在進行中のウクライナ「革命」は、茶番の度が越して大惨事の兆候すら出てきているのではないだろうか。

 ヤヌコビッチ氏は2004年のオレンジ革命で敗れたものの、2010年の大統領選挙でリベンジを果たした。今回、政権の座を追われ、ヤヌコビッチ氏は再び煮え湯を飲まされたことになる。

 「オレンジ革命と比較されることが多い今回の政変だが、決定的に違う点がある」と上野俊彦上智大学教授は指摘する。ソ連崩壊後、多文化共生国家であるウクライナの政治は安定しなかったが、これまで大統領選であれ議会選であれ、選挙結果には従うという民主主義のルールが守られてきた。しかし今回、それが破られてしまったという点だ。

 2004年のオレンジ革命のときにはユーシェンコという主役がいたが、今回の仕掛け人は西ウクライナの民族主義者や過激な右派セクターという議会外の存在である。そのため、「革命」の主役が見当たらず、「野合政権」との印象は拭えない。

 政権転覆を図ったとされる米国の危機管理能力への疑問の声も高まっている。国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、「米国の主な目的が、ウクライナで起きている暴動と大国間の緊張を最小限に抑えることだとしたら、重大なミスを重ねている」と指摘する。2013年11月にウクライナへの経済支援を渋った上に、2014年2月に成立した政治危機の解決のための合意を軽視し、西側寄りの暫定政権への支持を表明した米国政府の対応が、地政学的リスクを極端に高める原因になったと見ているのだ。

「エネルギー同盟」の関係にある欧州主要国とロシア

 しかし、この問題で一番頭を痛めているのは、ロシアとの関係が深い欧州だ。

 2013年のEUの対ロ貿易は、米国の対ロ貿易の約10倍である。ロシアにとってもEUは貿易の半分を占める重要な地域である。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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