望みの綱は「パイプライン」、
ウクライナ危機に打開策はあるか

国家間紛争を抑制するパイプラインネットワークの効果

2014.03.27(木) 藤 和彦
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 今回のウクライナ紛争で乱暴な動きを見せるロシアだが、欧州への天然ガス供給を停止させるそぶりを見せていないし、欧州側もいたずらに対決モードを煽るのではなく、対話による解決を優先するとの姿勢を示している。相互確証抑制効果による紛争の早期全面解決に期待したい。

中国が台頭する今こそパイプラインネットワークの構築を

 翻って、ウクライナ紛争が日本にもたらす教訓とはなんだろうか。

 中国共産党の機関紙「環球時報」(2014年3月17日付)は、ウクライナ危機について「どんな結論が出ようと勝つのは中国」と指摘した。

 西側諸国の制裁が続けば、ロシアは中国への依存を強め、安い価格で天然ガス輸出契約に合意するようになる。もしもロシアがウクライナへの侵入に踏み切れば、NATO加盟国との間で新たな冷戦状態に突入する。それは、米国政府のいわゆる「アジア回帰戦略」にダメージを与えると見ているからだ。

 日本は、値段が比較的安いことからロシア・サハリン地域からLNGを輸入している(全輸入量の約10%)。中国の台頭というアジア地域での大地殻変動に対応するためにも、日本とロシアが先導する形で当該地域に早期にパイプラインネットワークを形成し、欧州地域にならって相互確証抑制効果をもたらす環境作りをすべきではないだろうか。

 自民党内ではエネルギー危機突破戦略の観点から、サハリンをはじめとするロシアの天然ガスをパイプラインで日本に輸送する計画の早期実現に向けての取り組みが始まっている。日本はウクライナ情勢に一喜一憂することなくロシアとの対話のパイプを維持しつつ、パイプライン構想実現のフォローの風が再び吹く時期を待つべきである。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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