東京都知事選挙の告示日(1月23日)が近付いてきた。2月9日が投票日なので約1カ月後には新しい東京都知事が誕生する。

 まず前回知事選でも立候補した宇都宮健児氏(元日弁連会長)が立候補を表明した。共産党や社民党の推薦を受けることになっている。続いて田母神俊雄氏(元自衛隊航空幕僚長)が名乗りを上げた。石原慎太郎氏(元都知事、日本維新の会共同代表)の個人的応援を受けるという。維新の会としては、誰も支持も支援もしないということのようだ。

 世論調査で一番支持を受けているのが、舛添要一氏(元厚生労働相)だ。1999年に都知事選挙に立候補したが、この時は石原慎太郎氏に惨敗している。

 自民党は猪瀬直樹前知事が辞任を表明した直後には、安倍晋三首相らも「勝てる候補を」というので女性参議院議員や女性官僚の名前も取りざたされたが、党の知名度調査でもトップの舛添氏にほぼ収斂されていっているようだ。

 だがこの面子では前回の知事選同様に特段の争点もなく、舛添氏の圧勝というつまらない選挙になるだろう、と思っていたが、ここにきて、細川護熙元首相の立候補が現実味を帯びてきている。細川氏が立候補すれば民主党も乗る意向だと言われている。細川氏にとっては有難迷惑かもしれないが。いずれにしろ前回のような無風ではなく、緊迫した選挙戦になる様相となっている。このこと自体は大いに歓迎するべきことだ。

東京の問題を真剣に吟味しているのか

 それにしても、結局、自民党も、民主党も、独自候補を立候補させることもできないということだ。国政では断トツの一強体制を築いている自民党が、首都東京で独自に知事候補も出せないというのは情けない話ではないか。

 民主党もそうだ。国政では特定秘密保護法などで自民党と対決し、「安倍内閣の暴走を食い止める」などと言っておきながら、首都東京で舛添氏が立候補すれば自民党との共同も辞さない、細川氏が立候補すればそちらでも良いするというのでは、真面目に都政を考えているのかと言いたくなる。

 自民党も、民主党も、そもそも東京都政を今後どうするのか、必要な改革は何なのか、見識ある意見を持っているわけではない。だから、ただただ知名度が高いのは誰か、誰なら選挙に勝てるのかという選挙テクニックの話ばかりをしてきただけだ。