2013年12月10日、韓国の産業通商資源部は国会に、2035年までの「第2次国家エネルギー基本計画案」を報告した。最大の目玉は、エネルギー需要の増大に対応して、さらに6~8基の原子力発電所を新設するという内容が盛り込まれたことだ。福島の原発事故以降、韓国でも原発の安全性に対する強い疑問の声が上がっているが、「代案がない」ということで苦渋の選択となった。
産業通商資源部が国会に基本計画案を報告した12月10日、次官と国会議員との間で激しい議論があった。「原発増設」を批判する議員と次官との論争がヒートアップしてこんなやり取りもあった。
「原発大国」目指していた韓国、日本も引き合いに出して大激論
次官「日本政府の場合も、原発再稼働に向けて動き始めている」
議員「日本がそうだからと言って、どうして我々も(原発増設を)しなければならないのか! 我々は日本の植民地だとでも言うのか!」
こんなやり取りが飛び出したのも、エネルギー政策に関して、韓国内でもさまざまな議論があるからだ。
産業通商資源部が報告した案をまずは見てみよう。
同部は2035年までに、総エネルギー消費量が年平均0.9%、電力需要が同2.5%増加するとした。2035年の電力需要は7020万石油換算トン(TOE)と予測した。
このうち、原発依存度を29%とする方針を掲げた。
原発依存度が29%というのは、前の李明博(イ・ミョンバク)政権時代と比較すれば大幅な引き下げだ。2008年に策定した「第1次国家エネルギー基本計画」では原発依存度を世界でもフランスに次ぐ水準である41%と設定していた。
李明博政権はアラブ首長国連邦(UAE)から原発建設を受注したこともあって「原発大国」を目指していたのだ。
ところが、今回の案では、原発依存度を29%と12ポイント引き下げた。福島の原発事故以来、韓国内でも原発の安全性に対する懸念の声が高まり、どんどん原発を建設するという雰囲気はまったくなくなってしまったからだ。