自衛隊の力を強くする日本の豊富な森林資源

バイオ燃料の生産で国防と経済成長の二兎を追え!

2013.12.17(火) 藤原 秀樹
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 ほとんどの工場が海外からの木材チップを受け入れるために、臨海に立地している。とは言っても、日本であるから山林にも近い。水利のため河口にあり、港を有し、排水処理設備も完備している。

 これらの工場を利用しない手はないのである。幸か不幸か印刷用紙の需要が低迷しており、化学パルプ生産に余力もでている。化学パルプの名が表すように、化学プラントの運用にも、これらの工場は習熟している。

林業再生とエネルギー不安解消をもたらす新しい国産燃料

 もし、国内産樹木でバイオ燃料生産が開始されれば、新たな国産燃料となる。かつての薪、石炭以来である。長いこと海外のエネルギーのみに頼ってきた日本が自国で生産可能なエネルギーを持つことができるのである。

 地熱発電など電力を生み出すシステムもあるが、バイオ燃料は燃料、それもディーゼルや航空燃料を国産化できる点が根本的に異なる。

 それでは、何をターゲットとして行うべきであろうか。私案であるが、まず第一に、自衛隊の使用する燃料に利用してはどうかと思う。バイオ燃料はディーゼル、航空用燃料、重油を生産可能である。

 それに、海外からの輸送が滞れば石油も入手できなくなる。その時、国産の燃料があれば自衛隊が護衛艦や航空機、車両類を稼働することが可能となる。石油がなければ戦にならないことは、前の戦争で身に染みているはずだ。

 だから、コストを無視しろとは言わない。林業からバイオ燃料生産、その使用と、綿密な計画のもとに実施しなければならない。ただ、初めからコストを論じては実行不可能になる。そのためにも自衛隊は最適だろう。

 日本は、資源のない国と言われているが、水と樹木は豊富なのである。その樹木を原料とし、製造過程で水を必要とする木材ガス化によるバイオ燃料製造は、日本に向いているのである。

 コストは林業の効率化と木材の燃料への変換効率により変化するが、まずは実行してみることである。

 純国産の燃料を自衛隊に利用し、製造コスト削減を行っていく。林業が再生され、燃料の国産化されれば、トータルコストがどうなるかは、やってみなければ分からないのである。

防衛省資料・平成22年度

 それでは、どれくらい製造すればいいのであろうか。詳しい資料は当然ながら入手できないが、上記資料によると総額989億円である。

 1リットル当たりいくらで調達しているのか詳細は不明であるが、仮に70円/Lとすると、約140万キロリットルとなる。年間使用量であり、備蓄分は別である。最大でこの量を生産すると考えればいいだろう。

 この量を生産するには、山林を維持しつつ、どれくらいの面積が必要なのだろうか。次回はその答えを導くとともに、この連載を完結する。

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藤原 秀樹 Hideki Fujiwara

 

カーボンニュートラル資源研究所 代表

慶応義塾大学工学部卒・同大学院修了後、十條製紙(現・日本製紙)入社。

米国・ウェスタンミシガン大学留学。工学博士。

日本製紙・取締役・研究開発本部長、関係会社役員を歴任。

TAPPIフェロー(米国紙パルプ技術協会名誉会員)、TAPPI 塗工部門技術賞 (アジア初)

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部・非常勤講師、タイ国アジア工科大学院・客員教授

米国紙パルプ技術協会・国際研究管理委員会 委員(副委員長)
マルクス・ヴァレンベリ賞(スウェーデン)選考委員会・アジア地区大使を経て、現在は選考委員会のシニアアドバイザー

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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