10月1日 安倍晋三首相は2014年4月より消費税を5%から8%に引き上げることを表明しました。それを受けて、様々な業界で3%増税分を価格に転嫁する動きが次々に明らかになってきました。

 日本郵便は現在50円のはがき代金を52円に、80円の封書代金を82円に値上げすることを表明しています。また、銀行の振込手数料は105円が108円へと3円値上げ、タバコも1箱につき20円、ディズニーランドの入園料も200円値上げされるようです。

 その一方、あまり意識されることはありませんが、医療費には消費税がかかりません。非課税なのです。

 このことについて、「医療費は消費税がかからないので、来年4月から3%消費税が増えようが、これから先、さらに10%になろうが、医療費は増税の影響を受けません」と説明しているメディアも見受けられます。しかし、それは認識があまりにも表面的すぎます。

 なぜならば、利用者が窓口で支払う医療費に消費税は発生しませんが、医療機関が薬や医療機器などを仕入れたりする代金、消耗品購入や外注費用には、全て消費税が課税されているからです。

 この医療費の消費税非課税問題により、医療機関が被っている損害は、私の診療所で年間250万円程度、病院ともなれば5000万円から数億円と言われています。

 ましてや消費税が8%になれば負担額は1.6倍に、10%になれば2倍になってしまいます。この医療機関の損税問題はずっと指摘され続けてきました。政府は一体いつまで放置し続けるつもりなのでしょうか。

消費税増税の負担が医療機関を直撃

 そもそも消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、「消費者が負担し、事業者が納付」(国税庁の定義)するものです。