前回の「バイオ燃料で世界から取り残され始めた日本」では、バイオ燃料の製造方法として、木質資源のガス化が欧米では試みられており、2014年からは実働プラントも稼働予定であること、日本は国土の68%の森林面積を持ちながら、そういった動きがないことを述べた。

 では、世界全体のエネルギー供給は一体どうなっているのだろうか。まず、その点から見てみたい。

原子力は2008年の世界のエネルギー消費のわずか2%

 図は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2011年に発表した2008年のエネルギー消費である。IPCCと言えば、つい最近2013年度のリポートが久々に発表されたと話題を呼んだが(前回は2007年)、それは各ワーキンググループの作業をまとめた評価報告書のことである。

 ワーキンググループはそれぞれの中間リポートを出している。図は、そのワーキンググループIIIの2011年リポートから引用した(原図は英語表記、著者の責任で和訳)。

2008年のエネルギー状況(IPCC・11回ワーキンキンググループIII・セッション 2011)

 ワーキンググループIIIは産業活動と温室効果ガスの関係などを取り扱うグループである。2008年のデータであるので、再生可能エネルギーが若干増加しているなど、多少の差はあるだろうが大きくは変わっていないものと思う。

 上の図のように、石油(34.6%)、石炭(28.4%)、ガス(22.1%)の3種類で全体の約85%を賄っている。ここで重要なのは、核(原子力)が世界全体で見ると、2008年(福島第一原発事故とその後の日本の状況変化の前)でわずか2%にすぎないということだ。

 しかも、この時点では米国、フランス、日本の3カ国で世界の原発発電量の50%以上を占めていた。米国:フランス:日本=10:6:5 程度である。