次期駐日大使に指名されたキャロライン・ケネディ氏は、9月19日、アメリカ上院外交委員会の公聴会で対日政策に関する所信を表明した。
その内容には、以下のような尖閣諸島に関する見解が含まれていた。
「日本はアメリカにとり不可欠なパートナーであり、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定そして繁栄の基礎である」
「尖閣諸島は日本の施政下にあり、日米安全保障条約第5条の適用対象である」
「第三国間の領有権紛争に対して、アメリカは特定の立場は取らない。尖閣諸島に関して日中間の対話を通した平和的な解決を切望している」
日本メディアは、ケネディ次期大使がオバマ大統領と親しく、かつケネディ一門という“ブランド力”が強いため、米メディアはケネディ次期駐日大使に高い関心を示すであろうと見ている。さらに、そのことによってアメリカが日本に関心を示すきっかけになると期待しているようである。
しかしながら、少なくとも現時点では、次期駐日大使が誰になろうがアメリカ政界や世論が日本に高い関心を示すような兆候はない。
ケネディ氏に対する公聴会が開かれた前日、アメリカ下院軍事委員会ではアメリカ各軍(海軍・陸軍・空軍・海兵隊)の長に対する公聴会が開かれた。この公聴会は日本の国防にとっても無関係ではない。それにもかかわらず、ケネディ次期大使に対する上院公聴会の様子を比較的詳しく伝えた日本メディアは、この下院軍事委員公聴会の様子には関心を示さなかったようである。
厳しい現実に直面しそうなアメリカ軍
9月18日の下院軍事委員会公聴会の主題は、「強制財政削減(10年間にわたって、国防予算は一律かつ自動的に大幅削減される)に伴って、アメリカ軍(海軍・陸軍・空軍・海兵隊)が国防の任を全うできるのか?」というものであった。
公聴会の冒頭で議員側から、グリーナート海軍作戦部長、オディエルノ陸軍参謀総長、ウェルッシュ空軍参謀総長、それにエィモス海兵隊総司令官たちに対して、「あなた方軍人は、毎日のように生と死に関する決断を迫られている・・・連邦議会はアメリカのための予算の編成(すなわち国防予算の調達)ができないでいる・・・これはあなた方軍人の失策ではなく、われわれ議会の失策です」という謝罪がなされた。まさに、極めて深刻な状況にアメリカ軍が直面していることを、この謝罪が物語っている。