スマートフォンの普及とともに、IT業界で最近バズワードと化しているのが「O2O(オンライン・トゥ・オフライン)」です。ネット上の情報を基にリアルな店舗への送客を実現する新しいマーケティング手法として、注目されています。

 ライフスタイル提案型チェーンストア「無印良品」を展開する良品計画はO2Oの先駆企業です。同社WEB事業部長の奥谷孝司さんにお話をお聞きしました。無印良品の取り組みは、どんな規模のお店にとっても大いに参考になることと思います。

ツイッターで実験的にタイムセールス

 2010年に奥谷さんがWEB事業部長に着任した際、金井政明社長からWEB事業部の役割として、3つの事柄が提示されたといいます。

 第1に「店舗への送客」、次が「お客様とのコミュニケーション」、そして「ネットストアの売り上げ拡大」です。どうすればネットから店舗への送客ができるのか、どうすれば3つの課題をクリアできるのか、奥谷さんは考え抜きました

 導き出した結果が、CRM戦略(カスタマーリレーションシップマネジメント=顧客関係管理)を徹底することでした。

無印良品WEB事業部長の奥谷孝司さん

 お客様の満足度を上げるためには、購入時はもちろんのこと、顧客が望むタイミングで購買前からアフターフォローまで継続的にコミュニケーションする必要があります。奥谷さんが、コミュニケーションを取るための有効なメディアとして活用したのがソーシャルメディアです。売り上げだけではなく、顧客との接点を増やし、お客様との絆づくりをするのにソーシャルメディアは適していました。

 運がよかったのが、当時同社の公式ツイッターアカウントが存在し、少しずつコミュニケーションを開始したところ徐々にフォロワーが増加し、1万5000人ほどの規模に成長していました。実験的にタイムセールを行ったところ、ネット通販で60万円ほどの売り上げがあがりました。無料のツールで売り上げを確保できたことが、ソーシャルメディア活用の手ごたえにつながったのです。