世間では日本人若者の内向き志向や留学生数の減少など悲観的な報道が目立ちますが、現実はそうではないようです。
日本認定留学カウンセラー協会(JACSAC)代表幹事の星野達彦氏によると、「留学斡旋機関や大使館などが行う留学フェアをはじめとしたイベントの参加者が大幅に増えている」とのことです。
さらには多くの留学カウンセラーからも、ここ数年は現場レベルでも留学相談やイベントの参加者が増加したとの声がよく聞かれます。
実は日本人の留学生数は増えている!?
星野氏によると、「留学関連メディアでは広告主の出稿量が増えているところも珍しくなく、留学斡旋業界の景気が良くなっているとも言える」とのこと。
留学情報メディア業界大手の留学ジャーナルによると、2012年度に同社が手掛けた斡旋者数は3500人と前年比12%増。日本全体でも2012年の海外留学者数(短期の語学留学等を含む)は約20万3000人で前年比8.8%増となっています。
これには、グローバル人材が求められているため、夏休みなどを利用して海外で学ぶ学生や、社員を語学学校等での研修に送り出す企業が増えているという背景が考えられます。
では、なぜメディアによる報道と現実の状況に乖離があるのでしょうか。それは、文部科学省が毎年発表する日本人留学生数のデータにも原因がありそうです。
まず、データが常に2年前のものであるため、タイムラグがあります。また、データの対象が高等教育機関への留学のみとなっているため、語学学校への留学などは含まれていません(ちなみに中国など国によっては語学目的留学の人数も留学者数にカウントされているところもあります)。
データで見る留学生数の増加
そうした短期の語学留学を含めると、ここ数年は日本人留学生数は増加傾向にあるというのが、以下のデータを踏まえた星野氏の見解です。
(1)大学のプログラム(短期留学含む)【出典:日本学生支援機構(JASSO)】
1万8570人(2004年)⇒ 2万3633人(2006年)⇒ 2万4508人(2008年)⇒ 2万8804人(2010年)
(2)アメリカへの英語留学【出典:US IIE Open Doors、Intensive English Program(IEP)】(参考:INSTITUTE OF INTERNATIONAL EDUCATION)
学生数:4953人(2009年)⇒ 4228人(2010年)⇒ 5502人(2011年)
滞在週合計:5万6283週(2009年)⇒ 4万572週(2010年)⇒ 6万3639週(2011年)