トクホで痩せるためにやらなければならないこと

謎多き「トクホ」の正体に迫る(後篇)

2013.04.26(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 「特定保健用食品」(トクホ)は、誰もがコンビニエンスストアなどで手に入れることのできる身近な食品だ。しかし、「トクホである」ということだけで、条件反射的に手を差し伸べてしまう向きもある。トクホとは一体、なんなのだろうか。

 トクホの疑問を、前後篇に分けて国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三氏に投げかけている。同センターは「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトで、企業から収集したトクホの製品情報273件(2013年4月現在)を含む、健康食品の安全性や有効性を総合的に伝えている。

 前篇では、梅垣氏から、トクホはあくまで食品であるという基本的な考え方を聞いた。最終製品としての効果が認められたものであるが、食品である以上、薬ほどの強い作用はないということだ。

 後篇ではより具体的に、われわれがよく目にするし手にもする「メッツコーラ」や「ペプシスペシャル」といった“トクホコーラ”や、新発売となった「ヘルシアコーヒー」などの効果のほどを見ていきたい。これらのトクホは、トクホでない食品に比べて、どのような効果の違いがあるのだろうか。そして、われわれはトクホとどう接していけばよいのだろうか。

トクホは「食品そのもの」に効果がある

──前篇では、トクホの対象は、「食品に含まれる成分」でなく「食品そのもの」であるというお話でした。

梅垣敬三さん。独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長。薬学博士。1985年、静岡薬科大学大学院博士課程修了、1986年、国立栄養研究所(現・独立行政法人国立健康・栄養研究所)入所。同研究所サイト内の、特定保健用食品の製品情報を含む「『健康食品』の安全性・有効性情報」の管理運営などを行っている。1994年に日本食品衛生学会奨励賞、2003年に日本栄養改善学会賞を受賞。

梅垣センター長(以下、敬称略) はい。「体によい成分がその食品に含まれているのだから、その食品は体によいだろう」という誤解が専門職の方も含めてあります。

 成分を対象とした研究では、夾雑物を除いた“きれいな”試料が使われます。一方、最終的な食品では、成分が同様の状態にあるとは限りません。消費者は、最終製品として本当に効果や安全性があるか確かめられているかを見た方がよいわけで、トクホは「食品そのもの」に効果があることが認められています。

──トクホには、「血圧が高めの方に適する」「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」などの様々な表示があります。より身近なのは「食後の血中中性脂肪が上昇しにくい」あるいは「身体に脂肪がつきにくい」といった表示のあるトクホだと思います。この脂肪関連のトクホでは、表示にあるような効果はどのような仕組みで生じるのでしょうか。

梅垣 食物が消化・吸収される段階で糖分の吸収を遅らせたり、脂質の吸収を遅らせたりすることにより、効果が表れるとされています。また、体の中で脂肪を分解させやすくするものもあります。トクホの保健作用に関与している成分(関与成分)によって、効き方は違います。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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