マット安川 ゲストにチャイナウォッチャー宮崎正弘さんを迎え、東アジア諸国全体の現況や展望、日本はそれらに今後どう対処すべきか、を伺いました。

建設業界では早くも人手不足。指導者が代われば変わる

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:宮崎正弘/前田せいめい撮影宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏
評論家、作家。国際政治・経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウオッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。近著に『オレ様国家 中国の常識』『2012年、中国の真実』『中国が世界経済を破綻させる』など。メールマガジン『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』を発行。(撮影:前田せいめい、以下同)

宮崎 前回首相だったころと違って、安倍(晋三首相)さんはずいぶん明るい顔をしていますね。自信がある。歩き方から演説の話しぶりから、すごいなという感じですよ。いよいよそこにふさわしい人が歴史の舞台に出てきたのかな、と。(安倍政権が)5年ぐらい続いてほしいと、個人的には思います。

 今年7月の参議院選挙が終わるまで、安倍さんはイデオロギー論争になるようなテーマは避けるでしょう。何をするかといえば経済の再生です。それに関連して私は内閣参与に起用された2人の人物に注目しています。

 ひとりはエール大学教授の浜田宏一先生です。この方はなんとね、白川(方明)日銀総裁の恩師なんです。で、この浜田さんは白川さんのやってることは間違いだとはっきり言っていました。まずインフレ目標を設定して、通貨供給量を増やすべきだと。

 安倍さんが自民党総裁に決まった途端に、白川さんは自民党本部に飛んでいったでしょ。日銀としてはもういっぺん金融緩和をやらざるをえないでしょうね。

 もうひとりは京都大学大学院教授の藤井聡先生。彼はハイウエイから何から、日本中の老朽化した公共インフラを耐震構造に変えようと言ってます。これをやったら田中角栄の日本列島改造論のころみたいに日本中が普請だらけになって、そうなれば景気は相当回復するでしょう。

 建設業界ではもう人手不足が始まっています。指導者が代われば変わるってことですよ。この十何年、公共事業はずっと横ばい、もしくはマイナスで来ました。GDPがへこむのも当たり前です。

 ちなみに言えば、安倍新政権に最も不快感を抱いている国は韓国でも中国でもありません。実はアメリカです。アメリカが一番警戒していることは、日本が一人前の国になることなんですね。中韓はむしろ、話し合いの糸口を見つけ出そうとしている。そのへんのところを見誤らないほうがいいと思います。

中国経済は今年、ハードランディングする?

 ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授が、今月2日付のニューヨーク・タイムズに「今年、中国経済はハードランディングするだろう」と書いていました。この人の予言はけっこう当たるんです。