私の連載は、今回で最後となりました。これまで読んで下さった皆様には様々にお声がけいただき励まされました。心よりお礼申し上げます。

 さて、2012年末12月21日、防衛省から三菱電機の過大請求事案についての報告書が公表された。これを読むと、報道ベースでは見えてこない防衛産業の一面を窺い知ることができるのでここで紹介したい。

 57ページにわたる報告書にはまず「はじめに」として、見過ごせない事実が記されている。それは「装備品等の過大請求事案は、本件を含め、これまでに累計26件発生しており・・・」ということ。

 やはり26件の発生というのは大きい。「チェック機能が弱い」と言えばそれまでだが、その前に、企業側がなぜそのようなことをしてしまうのか、根本的に仕組みそのものにどこか欠陥があると考えるのが普通ではないだろうか。

 この類の事案が発生すると、「企業=悪」という決まりきった表現でしか伝えられず、過大請求するに至った動機や経緯などには目が向けられないままとなってしまい、真の意味での解決とは言えなかった。

 今回の報告書は、企業側のみならず防衛省側の問題点にも言及されている点で次につながるものと言えそうだ。

企業内の関係者に不正の自覚はなかった?

 注目すべきは同報告書18ページ以降である。「工数付け替え等の動機及び背景」として、次のように綴られている。

 <今回露見した過大請求行為は、基本的に契約金額に見合った目標工数に沿って工数を計上することにより、本来であれば防衛省に減額されたり、返納させられたりするはずであった適正水準を超える利益を以て赤字としていたはずの契約案件を補てんする効果を生み出し、利益を最大化するものであった。>

 

 これはどういうことなのか、さらに詳しく記されている。