朝ゆっくりできないからこその朝食

“朝食是非論”に決着を(後篇)

2012.12.28(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 夕食をたっぷり食べたら朝食を抜いた方がいいのは当たり前です。時間栄養学であれ、ほかの理論であれ、「量」の問題は避けられません。よく「時間栄養学の理論を実践すれば、山のように食べても大丈夫ですか」と聞かれますが、それは無理な話です。

 「朝食はとらなくてよい」と言っている人は、夕食をとり過ぎているから「朝食はとらなくていい」と言うことができるのです。普通の量を食べている人が、朝食を必要としないかと言えば、そんなことはありません。

「朝食→熱産生→活動」という仕組み

──ほかにも、朝食をとるとかえって問題が起きるとする主張も見られます。例えば、「朝食をとると消化のためにエネルギーが必要になるため、活動にエネルギーを集中することができなくなる」といったものがあります。

柴田重信氏。早稲田大学理工学術院先進理工学部電気・情報生命工学科薬理学研究室教授。薬学博士。九州大学薬学部助手、助教授、早稲田大学人間科学部助教授、教授を経て、2003年より現職。専門の「時間生物学」を背景としながら、近年、研究が進んでいる「時間栄養学」を牽引している。

柴田 逆に、朝食をとらない方が、血液循環も悪く、体温が上がらず元気にならないと言えます。食事をとると、体の中で「食事誘発性熱産生」(DIT:Diet Induced Thermogenesis)という作用が起きます。食べものが取り込まれ、胃腸が運動しだすことによって熱が作られるのです。それにより体温が上がります。体温が上がれば、体内の生化学的な反応が良好になり、筋肉もスムーズに動くようになります。特に朝食では、食事誘発性熱産生が起こりやすいとも言われています。

 よく、朝食をとらない子どもは低体温で、朝から昼にかけて活発でないと言いますね。あれは、朝食を食べないので熱産生が起こっていないということです。

──子どもと朝食という点では、「習慣的に朝食をとっている子と、習慣的に朝食をとっていない子では、朝食をとる子の方がテストの成績がよい」といったデータもよく見ます。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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