米アップルと韓国サムスン電子の特許訴訟で、米連邦地裁の陪審がアップル側に有利な評決をしたことで、「いよいよアップルがグーグルを訴える日も近づいてきた」という観測が流れるようになった。
中でも米ニューヨーク・タイムズの27日付の記事では、その根拠として今回の米国の裁判で陪審が認定したユーザーインターフェースの特許侵害を取り上げている。
問題となったのはサムスンが後から独自に付加した機能ではなく、そもそもグーグルのモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」に備わっていた機能だからだ。
ジョブズ氏の怒りの矛先はアンドロイドだった
もしグーグルが今後、アップルが主張する特許を回避すべくOSに変更を加えなければ、おそらくアップルはグーグルを訴えるだろうと伝えている。
そもそも、故スティーブ・ジョブズ氏が「アイデアを盗まれた」として怒りの矛先を向けたのはアンドロイドだった。だがこれまでアップルがグーグルを訴えなかったのは、グーグルがOSの開発だけに専念し、それを端末メーカーに無償でライセンス供与していたからだ。
グーグルは端末販売で稼いでおらず、モバイル広告という間接的な収入を得ていた。こうした状況では具体的な損害額を証明するのが困難なため、アップルはアンドロイド端末を製造販売しているメーカーを訴えることにした。
しかしここに来てこの状況に2つの変化が生じている。
1つはグーグルが端末メーカーである米モトローラ・モビリティを傘下に収めたこと。もう1つは、製造こそ台湾アスーステック・コンピューターが担当したものの、グーグルも自社ブランドのタブレット端末「ネクサス(Nexus)7」を市場投入したことだ。