最近、わが国では研究・開発分野の予算が削られていく方向にある。これは防衛装備品に限らず、あらゆるところで起きている傾向であり、また、こうした将来を見据えた取り組みが理解を得難いのは今に始まったことではない。
しかし、その時々に、誰も応援してくれない逆境の中にあっても、なんとしてもやり抜こうという熱意を持つ人が中心となり新しい物は作り上げられてきた。私たちはその一部の「頑固者」の恩恵を受けていると言っていいのかもしれない。
こうした類のことは身近にも反対する人が出てくるものだ。まして目先のことしか見えない「民意」など、その必要性を分かるはずもない。
そんな中でも意志を通す、変わり者と言われるような人が世の中には必要なのだ。そうでなければ文明は拓かれない。
そういう見方をすると、このところ日本で大きな“騒動”となっている航空機、沖縄の海兵隊に配備されようとしている「MV-22 オスプレイ」はすごい。
30年以上の年月をかけて運用まで漕ぎつけるとは相当大変なことだろう。「ムダ削減」の雰囲気に押されて、弱気で諦めがちな(諦めざるを得ない)日本人には見習うべき執念ではないだろうか。
オスプレイ(のような航空機)の構想そのものは1940年に遡る。最初は米陸軍と空軍、そしてベル社による共同計画だった。その後も研究は続けられ、プロペラだけでなくエンジン全体を回転させるティルトローター機を完成させ、米国防省は正式な開発を発表する。1981年のことである。
つまり、米国は長い年月をかけてトライ&エラーを繰り返しながらこの機の運用を達成したことになる。一時の感情論に流されることなく、将来の安全保障環境に必要と見れば諦めない、そんな国としての姿勢がこの歴史に垣間見られるのだ。
開発、訓練で200人以上が死亡した「零戦」
とはいえ、「Widow Maker(後家づくり)」などと報じられているオスプレイが近くを飛ぶとなれば、不安になることも確かであろう。