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流行ゲームの背景に新たなコミュニケーション軸

ソーシャル化する社会が世界を大きく変え始めた(11)

2012.07.06(金) 小川 和也
    http://goo.gl/nDEmF
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 ソーシャルゲーム――。様々な「ソーシャル化する社会」現象の中でも、ビジネスの領域でいま最も賑わいを見せているのが「ゲームのソーシャル化」かもしれない。

急速に社会的関心と存在感が高まったソーシャルゲーム

東京ゲームショウ2011、「ソーシャルゲーム」人気を反映

グリーは昨年9月、アジア最大のゲーム見本市「東京ゲームショウ」に初出展。従来の大手ゲーム機メーカーに挑む構図となった〔AFPBB News

 ソーシャルゲームを代表するプレイヤーであるグリー(GREE)やモバゲー(mobage)のCMをテレビで見かけない日はほとんどない。

 最初にそれを見かけた時は、ソーシャルゲームのようなものがテレビCMを通じて宣伝されるようになったことに驚きを覚えた人は多いはずだ。

 ところがそれからあっという間に、携帯画面上の簡易なゲームが著名なタレントを用いて大量に宣伝される様は日常的な光景となった。

 いまやテレビCMの収益を支える代表格は、それらソーシャルゲーム大手の企業だ。それだけではなく、街に出れば交通広告、屋外広告でも存在感を示している。

 2012年3月9日付の三菱UFJモルガン・スタンレー証券「ソーシャルゲームの正体を探る(V)」によると、ソーシャルゲームは2011年の市場規模推定で2658億円、2012年は4643億円、2013年になると5766億円にまで成長するという予測がある。

 さらに、ソーシャルゲームにPCゲームなどを加えた家庭用ゲーム機以外の市場規模は3兆円に達し、2011年の世界の家庭用ゲーム機市場規模の約2兆1200億円を既に上回っているとも言われている(参照:MANTANWEB「世界ゲーム市場 : PC・ソーシャルが3兆円規模 家庭用ゲーム機上回る」)。

 家庭用ゲーム機以外のゲーム市場を牽引しているのは、ほかならぬソーシャルゲームだ。

 当初、大方の大手ゲームメーカーは、ソーシャルゲームはゲームとしては簡素でレベルが低いという見方をし、開発意欲を示していなかったことを思い出す。

 しかし、ソーシャルゲームが家庭用ゲーム機の市場を成長性で凌駕し始めたいま、そこを素通りできなくなった。大手ゲームメーカーも、ついにソーシャルゲームの市場参入へ力を入れ始めた。

 2012年5月に入り、そこに冷や水をさすようなコンプガチャ問題が起きた。コンプガチャは、ガチャ(カプセルトイ)のようにランダムにアイテムを揃えることで希少なアイテムを入手できる仕組みで、このガチャを回す際に課金することがソーシャルゲームの収益を得る1つの方法になっていた。

 これが景品表示法への抵触や、未成年が課金により多額のお金を使い込むトラブルなどの元凶となっているということで、一気に問題視されるようになった。コンプガチャ問題噴出以降、消費者庁やソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会などの関係省庁団体で、その健全化と環境整備に努めている最中だ。

 市場の急成長とそれが抱える問題、そこには清濁あったにせよ、ソーシャルゲームは世の中的に大きな存在感を占めるようになったことだけは間違いない。

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Kazuya Ogawa

アントレプレナー / デジタルマーケティングディレクター / 著述家
西武文理大学特命教授

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慶應義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年グランドデザイン&カンパニー株式会社を創業、代表取締役社長に就任。数々のITベンチャービジネスや、デジタルマーケティングディレクターとして大手企業や行政、アーティスト等の先端的デジタルマーケティング事例を数多くつくり続けている。

ビジネスだけではなく、デジタルと人間や社会の関係の考察と言論活動を行っており、著書、寄稿、講演、メディア出演多数。主な著書に、「デジタルは人間を奪うのか」(講談社現代新書)、日本で初めての概念をテーマとした「ソーシャルメディアマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルメディア維新」(共著・毎日コミュニケーションズ)、「Facebookマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルブランディング」(共著・インプレスジャパン) など。

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