マット安川 今回は元総務大臣・原口一博さんを迎え、消費増税法案に揺れる国会や民党内の現状をお話しいただきました。(編集部注:本番組は消費税増税が可決される前の6月22日に放送されました)

消費税を上げて万事解決するわけではない

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:原口一博/前田せいめい撮影原口 一博(はらぐち・かずひろ)氏
衆議院議員、前総務大臣。民主党佐賀県総支部連合会代表。 松下政経塾、佐賀県議会議員を経て、1996年に衆議院議員に初当選。2009年9月から翌年9月まで総務大臣を務める。尊敬する人は松下幸之助、マザーテレサ、ガンジー。(撮影:前田せいめい、以下同)

原口 昔から民主党を応援し続けてくださった方に、ごめんと言われました。「ごめん。おれはお前たちを応援してきて恥をかかされた。おれは間違っていた」と、涙まで流すんです。こういう思いをさせてしまったことを、所属議員の一人として心からお詫びします。

 あの選挙のときに作った09マニフェストで、民主党は消費税に言及していません。とにかく言ってないことは言ってない。ならば選挙で国民の信を問うた上でやらないといけないというのが、僕の立場です。

 少なくともどうして消費増税なのかということを、国民にもっと丁寧に説明しないといけませんが、それも不十分です。

 大震災やギリシャ債務危機といった大きな環境の変化もさることながら、雇用を守るためにも消費増税は必要です。社会保障負担が増えれば税か保険料を増やさねばならず、保険料負担が増えれば企業が正規雇用を減らすことにつながりかねません。

 巨万の富を独占して、なお大儲けしようと世界の金融市場で暗躍している勢力がいます。彼らが日本国債を売り浴びせるといった行動に出る可能性もあり、そうした事態を防ぐためにも財政赤字を改善しないといけないということもある。

 加えて社会保障と税の一体改革というのは、とうの昔に走ってなきゃいけない列車のようなものです。しかし小泉政権のときに先送りされ、以来放っておかれてきた。だから通らなきゃいけない道ではあるんだけど、その通り方があまりにもよくない。国民を置いてけぼりにしちゃいかんのです。

 報道されていないことでひとつ気がかりなのは、消費税さえ上げれば万事OKと思われているきらいがあることです。

 社会保障の制度自体を改革して、費用を減らすことも考えないといけない。そこを気をつけないと、10年後、あの法案で日本の財政はボロボロになったと言われかねません。