前回の『日本の大学を欧米とアジアのゲートウェイにしよう』では国内大学の国際化戦略としてダブルディグリーMBAなどのご紹介をしましたが、今回は学部生や低年齢層向けの多様なグローバル教育の一端をご紹介します。

現地インターンシップを積極的に活用する試み

 九州産業大学では2007年度からオーストラリアの大学と提携し、語学研修や現地企業でインターンシップを含めた「KSU海外ジョブトレーニング」を推進しています。

 2011年度は15名が8~9月に1カ月間、語学とインターンシップに従事。インターン先が体験するのはデザイン事務所や旅行業、幼児教育施設など自らの専攻に近い職場です。

ディズニー、デジタル絵本の販売サイトを新設

明治大学はディズニーワールドへのインターンシッププログラムを手掛ける(写真は東京のディズニーストアの様子)〔AFPBB News

 インターンシップでどれだけ英語が通じるかを肌身で感じることが、さらなる英語学習への動機づけになっているようです。

 また関西大学では、国際インターンシップとして、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークの専門機関を通じて現地の日系企業や米企業で実習を行うプログラムを実施しています。

 ユニークな試みとしては、明治大学による米国ディズニーワールドでの6~10カ月間のインターンシップを経験できる独自の留学プログラムがあり、学生に非常に好評のようです。

世界のトップスクールへの留学支援

 一橋大学ではオックスフォード大学とLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)への留学支援を始めました。

 期間は1年間で、学費や渡航費、生活費などを全面的にサポートし300万~350万円を支給する予定で、2013年秋に向けて各大学へ1人ずつ選抜します。今後は提携校や募集人数を拡大する計画で、世界のトップスクールへの留学支援を通じて、世界に通用するリーダーの育成を図ります。

 明治大学でも、特定分野で世界有数とされる欧米トップ校への留学を推進するため、助成金を最大120万円に引き上げました。さらに留学のための学習カウンセリングを担う専門教員を今年から配置するなどして、2020年度までに常時1500人が海外留学している状況にする計画です(現在は550人)。

 芝浦工業大学でも理系トップ大学への留学を後押しするための語学学習を推進し、1回40分のネイティブスピーカーによる英会話授業を、年間100回実施するなど手厚いサポート体制を整えています。

大学教員、職員のグローバル化への取り組みも

 一方、教員のグローバル化を推進する取り組みも見られます。

 早稲田大学ではスイスのビジネススクールであるIMDと包括的な協定を結び、教育プログラムの共同開発や教員の現地派遣などを通じて国際教育の拡充を進めています。現地に1週間~10日間ほど派遣された教員の指導を通じて、日本の学生が国際分野への関心を高めることを狙っています。

 さらに同大学では職員を対象としたEラーニングのメニューに韓国語と中国語を追加し、受講料の6割を大学が負担する体制を整えています。