2012年6月24日の日曜日。ソウルの東部にある江東区の大型スーパー「Eマート」には朝から買い物客が続々と詰め掛けた。

 この日、同店は区の条例に基づいて「強制休業」させられるはずだった。ところが、流通業者が起こした行政訴訟で2日前に「強制休業措置は不当」との判決が出て、急遽開業することができたのだ。

法改正で大揺れの韓国流通業界

 韓国の流通業界は今、大揺れだ。きっかけは、2011年末に国会を通過した「流通産業発展法改正案」。これによって地方自治体が条例で大型スーパーや企業型食品スーパー(SSM)の営業を制限することが可能になったためだ。

 2012年3月に全羅北道全州で営業時間を制限する条例が施行されたのを皮切りに、全国の自治体が相次いで同じような条例を導入した。

 毎日午前零時から午前8時までの営業を禁止したうえ、1カ月に2回の日曜日の営業も禁止する内容が多い。

 ソウル江東区のEマートも24日はこの条例に基づいて休業するはずだった。

 ところが、Eマート、ロッテショッピング、ホームプラスなど流通業者5社が、江東区などソウルの2つの区を相手に「営業制限処分撤回請求」の行政訴訟を起こしていた。

 これに対してソウル行政裁判所は22日に、「条例制定の手続きに問題があった」として条例が不当との判決を出した。5社は慌てて2日後の開店に備えて商品の発注やパートの確保などに乗り出し、開店にこぎつけた。

 では一体、韓国の流通業界で何が起こっているのか。

どんどん強まる大手業者の市場支配力

 韓国では、大手流通業者の市場支配力がどんどん高まっている。新世界グループのEマートやロッテマートなど大型店が全国に出店を続け、事業規模を急拡大させている。

 さらにここ数年は、SSMと呼ばれる大型総合スーパーより店舗面積が少し小さい企業型の食品スーパーが次々と出店している。SSMは2001年には全国に200店しかなかった。しかし、特にここ4~5年間で出店ペースに拍車がかかり、一気に1000店前後に達したと言われる。