現在、軍事用ロボットは次のように、各分野で活用され、盛んに開発配備が進められている。その中心になり先陣を切っているのは米国だが、その他の国でも無人機などの開発が進められている。
1.広がる軍事用ロボットの用途
(1) 空軍
米空軍は、ベトナム戦争の時代から無人機を盛んに運用している。現在は、世界中の陸地のどこでも数時間以内に精密空爆を可能にする「Prompt Global Strike(迅速全球打撃)」用の超音速無人飛行体や超音速無人試験機「X-51A」を開発している。
また、昨年のビン・ラディン殺害作戦でも成果を挙げた、各種の無人偵察機、対地攻撃機の開発も進めている。
多用されている無人機には、「グローバルホーク」のような大型の無人偵察機もあれば、「ヘルファイアー」などの撃ちっぱなしが可能な精密誘導ミサイルを搭載し、地上の目標を攻撃できる「プレデター」のような攻撃機もある。
グローバルホークは福島原発事故では上空の偵察飛行にも使用された。
近年米軍は、無人の偵察機とミサイル搭載無人攻撃機を組み合わせ、パキスタンの上空などで使用することにより、地上で移動中のテロリストを車両ごとミサイルで精密爆撃するといった手法で、アルカイダのメンバー1000人以上を殺害した。
このため、アルカイダも大幅に戦力を低下させ、大規模テロの恐れは遠のいたとされている。
無人機については世界各国が開発を進めており、固定翼の航空機の無人型のほか、ヘリコプターのように羽を回転させて空中に停止し地上を偵察監視するもの、あるいは鳥のように羽ばたいて飛ぶものなど、様々のタイプが開発、使用されている。
中国は、2009年の軍事パレードに新型無人機を登場させており、各種の無人機の開発を進めている。
イスラエルは1970年代から中東戦争で無人機を使用しており、現在では1000機を超える無人機を輸出し、世界最大の輸出国になっている。
防衛費の効率的使用を迫られている英仏独加伊などの欧州各国始め、インド、韓国など各国の軍用ロボット、特に無人機の開発競争は熾烈になっている。