米ヤフーと米フェイスブックが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)関連の特許を侵害されたとして互いに訴えていた問題で、両社が和解に向けて協議を開始したと米国の技術系情報サイト、オールシングスデジタルが伝えている。

特許侵害でフェイスブックがヤフーを逆提訴

フェイスブックの本社前で記念撮影する人たち〔AFPBB News

 事情に詳しい複数の関係者の話として、今後状況が変化する場合もあるが、話し合いは数週間以内にまとまり、双方が訴訟を取り下げる可能性があると報じている。

 もともとヤフーとフェイスブックはサービスの相互利用に関して提携関係にあったが、和解が成立すれば雨降って地固まるごとく、両社の関係はこれまで以上に緊密になるという。

 この係争、その後の両社に起こった不運な出来事の前触れだった。両社は失墜した信用を回復する必要に迫られており、時間も費用もかかる訴訟ではなく、本業を前進させるという道を選びたいはずだと伝えられている。

学歴詐称で解任された前CEOが訴訟を主導

 ことの発端はフェイスブックが新規株式公開(IPO)を準備していた今年3月にヤフーが、同社の特許10件が侵害されたとしてフェイスブックを訴えたこと。フェイスブックも後にヤフーを訴え、訴訟は長期化の様相を呈していた。

 そうした中、ヤフーでは、スコット・トンプソン前最高経営責任者(CEO)の学歴詐称疑惑が浮上し、その後の騒動を経て同氏は解任された。この時大株主のヘッジファンド、米サードポイントの代表を務めるダニエル・ローブ氏などがヤフーの取締役会に加わっている。

 そもそもフェイスブックの提訴を主導したのはトンプソン前CEOと言われている。オールシングスデジタルによるとヤフーの取締役会は、「勝訴するか、うまく和解できれば、多額の現金をフェイスブックから勝ち取れる」と主張するトンプソン前CEOに説得された。

 その同氏が去った今、ロス・レビンソン暫定CEOと新たに加わった取締役の総意で、困難な訴訟よりも解決を急ぐ方が得策と考えたようだ。

フェイスブック、収益構造の改善不可欠に

 一方のフェイスブックはヤフーの提訴を受け、訴訟に強い組織体制を目指した。米マイクロソフトが米AOLから取得した特許の購入費用として5億5000万ドルを支払うなど巨額を投じて特許資産の拡大を推し進めた。

 オールシングスデジタルによると、フェイスブックは今回の和解協議に際してヤフーの保有特許を購入する意向があることを示唆しているが、もはや同社は特許に大金を支払う意向はないもようで、これが交渉の障壁になる可能性もあるという。