5月の初めから物議を醸していた米ヤフー最高経営責任者(CEO)の学歴詐称問題に決着がついたようだ。同社は13日の日曜日、今年1月に就任したばかりのスコット・トンプソンCEOを解任し、グローバルメディア部門を統括するロス・レビンソン執行副社長が暫定CEOに就任したと発表した。
併せて、これまで取締役会と対立していた大株主の米ヘッジファンド、サードポイントと合意し、サードポイント側が擁立していた4人の取締役候補のうち、ダニエル・ローブCEOを含む3人を迎え入れることにした。
その見返りとしてローブ氏は計画していた委任状争奪戦を取り下げた。
業績不振が続く中、ヤフーは経営再建を図っているが、これ以上の混乱は避けられないと判断しサードポイント側の要求を飲んだようだ。しかし、今後ヘッジファンドが主導することになるヤフーにとって、経営再建はますます難しくなるのではないかと懸念されている。
トンプソン氏の“うそ”裏付ける証拠
この問題の発端は、サードポイントが5月3日にヤフーに送った書簡だ。この中でサードポイントは、ヤフーの有価証券報告書などに記載されていた「トンプソン氏の会計学およびコンピューター科学の学士号」が事実と異なると指摘。
サードポイントが確認したところ、トンプソン氏の出身校がコンピューター科学の学位を授与するようになったのは、同氏の卒業後ということが分かった。
これを受けヤフーは、「不注意な誤りがあった」と認め、特別委員会を設置し、当時行った調査や情報開示に関する経緯を調べていた。
一方サードポイント側は「ヤフーの謝罪は不十分」とし、トンプソン氏とその人選の責任者を務めたパティ・ハート取締役の解任、暫定CEOの任命、さらにサードポイントの擁立した候補者を取締役会に入れるよう要求していた。