最高経営責任者(CEO)の学歴詐称疑惑は、とうとう関係者の進退問題が注目されるまでに発展してしまったようだ。米ヤフーは8日、社外取締役であるパティ・ハート氏が、今夏に予定されている次の株主総会で再選に立候補せず、今期限り取締役を退任すると発表した。
ハート氏は、米ゲーム機器製造販売のインターナショナル・ゲーム・テクノロジーのCEOだが、2010年からヤフーの社外取締役を務めている。同氏は、キャロル・バーツ前CEOの解任後、スコット・トンプソン現CEOを選出した委員会の中心人物だった。
米ニューヨーク・タイムズなどの海外メディアによると、トンプソン氏がヤフーのCEOに選出された際の具体的な経緯は明らかになっていない。
ただ、同氏が自ら取締役会に接触したことがきっかけになったとも言われており、その際の信用調査は、名の知れた管理職専門人材斡旋会社ではなく、ハート取締役が知っていた会社に依頼されたとされている。
つまりハート取締役はトンプソンCEOの起用を主導した人物であり、今回の学歴詐称疑惑の真相に近い人物。このことからハート取締役の退任は、「ヤフーにとってこの騒動の最初の犠牲」などと報じられている。
トンプソンCEO、従業員に謝罪
またヤフーの取締役会は同日、この問題の事実関係などを調査するために特別委員会を設置したことも明らかにした。
これは3人の社外取締役で構成する委員会。トンプソンCEOの学業記録について徹底的に再調査するほか、CEO任命に当たって当時行った調査や情報開示に関する経緯についても調査するという。
ただこの3人については、ヤフー経営陣との対決姿勢を強めている大株主の米サードポイントが取締役としての資質を疑問視しており、この人選を巡っても一悶着ありそうだ。