最高経営責任者(CEO)が学歴を詐称していたとして、米ヤフーにCEOの解雇などを求めているヘッジファンドの米サードポイントが攻勢を強めている。週明けの7日、CEO任命の経緯などを記した関係書類を開示するようヤフーに求めたのだ。
書簡、素性調査、雇用契約書などの開示を要求
株主は上場企業に特定の記録文書を開示させ、その内容を調べることができるというデラウェア州の一般会社法に基づいて請求したもので、サードポイントは、スコット・トンプソンCEO採用に至った経緯を示す書類や、取締役会への参加を認めた際の各委員会と同氏のやりとりを記した書類、人選の際に行った素性調査の書類などを開示するよう求めている。
これらには、応募書類、履歴書、書簡などトンプソンCEOが提出した書類のコピーや雇用契約書も含まれており、さらにサードポイントはほかの5人の取締役を指名した際の書類も要求している。
サードポイントは、ヤフー株式の5.8%を保有する大株主。同社のダニエル・ローブCEOは物言う株主として知られ、「機能障害に陥った取締役会は修復する必要がある」と批判するなど、ヤフーの経営陣との対決姿勢を強めている。
同氏は今回の要求で入手した書類を、ヤフーの現取締役を同氏が提案する取締役候補者に交代させる委任状争奪戦に利用するものと見られており、CEOの学歴詐称疑惑に端を発したこの事態は、より大きな問題へと発展しそうだ。
サードポイントの株主提案を拒否
これに先立つ今年3月、サードポイントはローブ氏を含む4人の候補者を擁立し、取締役の選任をヤフーに求めた。
ところが、ヤフーは「ローブ氏を指名することはヤフーと株主の利益にはならない」とし、提案を拒否。代わりにアメリカン・エキスプレスの幹部など計5人を任命した。ローブ氏はこの時から委任状争奪戦を決意し、それ以来、自身に有利な方法を模索していたと見られている。
今回の書類開示要求では、トンプソンCEO関連の書類のほか、サードポイントが擁立した候補者や、ヤフーが選んだ5人の取締役について、取締役会が協議した議事録も求めており、サードポイントはこれまでのヤフーの経営判断の経緯を徹底的に明らかにしていく構えだ。