昨年9月に前最高経営責任者(CEO)が解任されて以来、経営を巡る混乱が続いている米ヤフーにまた新たな問題が起きている。今年1月に就任したばかりのスコット・トンプソンCEOの学歴詐称が指摘され、同氏の解雇が要求される事態になっているのだ。

 ことの発端は、ヤフーの大株主であるヘッジファンドの米サードポイントが5月3日付でヤフーの取締役会に宛てた書簡

「不注意な誤りがあった」と説明

米ヤフー、CEOの学歴に「誤り」認める

ヤフーのウエブサイト〔AFPBB News

 これによると、ヤフーの有価証券報告書やウェブサイトの経歴欄には、トンプソンCEOがコンピューター科学の学士号を取得したと明記されていた。

 しかしサードポイントのダニエル・ローブCEOが実際にトンプソン氏の出身校である米ストーンヒル大学に確認したところ、同氏が取得していたのは会計学の学位だけだったという。

 これを受けてヤフーは「記載に不注意な誤りがあった」と答えたが、サードポイント側はヤフーの対応に納得していない。

 5月4日付の公開書簡で、トンプソンCEOと、同氏を選任した中心人物のパティ・ハート取締役も解雇するよう要求しており、5月7日の正午までに適切な措置を講じなければ「さらなる行動も辞さない」と警告している。

対決姿勢を強めるローブ氏

 ヤフーでは昨年9月にキャロル・バーツ前CEOが突如解任され、今年1月には共同創業者のジェリー・ヤン氏が退任するなど経営の混乱が続いている。また同社は主力の広告事業が不調で、昨年の年間売上高も21%減少するなど不振続きだ。

 こうした状況を打開すべく1月にトンプソン氏がCEOに就任した。4月には全従業員の14%に当たる2000人を対象にする過去最大規模のリストラ策を発表するなど、トンプソン新体制の下で経営改革が進められている。

 しかし、サードポイントのローブ氏が「機能障害に陥った取締役会は修復する必要がある」などと批判し、3月には自身を含む4人の候補の選任を求めるなど経営陣との対決姿勢を強めている。