ビバリーヒルズのすぐ隣に位置するセンチュリーシティは、僕の愛する映画『X-MEN』シリーズを制作している映画会社20世紀フォックスが所有していた土地だった。

センチュリーシティの遠景(ウィキペディアより)

 センチュリーシティという街の名前ももちろん20世紀フォックスの「世紀(Century)」から取られている。

 かつては同社の広大な撮影所が広がっていたが、60年代前半に制作されたエリザベス・テイラーとリチャード・バートンが夫婦で共演した超大作映画『クレオパトラ』が「映画史上最大」と言われる程の興行的な大失敗を記録。

 経営が危機的状況にまで傾いたのを契機に同社は土地をデベロッパーに売却した。

 以降、映画産業はもちろん、テレビや音楽業界、それらの周辺で活躍する法律事務所などのビジネスセンターが多く集まる現在のようなセンチュリーシティとして発展してきた。

 僕の通っているスポーツクラブEQUINOXは、センチュリーシティでもひと際目立つ、吠えるライオンのトレードマーク(「レオ・ザ・ライオン」の愛称で有名だ)で我々にも馴染みのある映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(通称:MGM)の本部があったMGMタワーのすぐ隣にある(MGMは2010年に米連邦破産法11条の適用を申請し、本部をビバリーヒルズに移したが、「レオ・ザ・ライオン」は今でもビルの上に立派に君臨している)。

 僕のアパートメントからEQUINOXまでは、10分弱の短いドライブコースだが、20世紀フォックス本社ビルのフォックスプラザ(映画『ダイ・ハード』では、ブルース・ウィリス扮するジョン・マクレーン刑事が活躍する舞台「ナカトミプラザ」として使われた)や、特Aリストに名を連ねるハリウッドスターたちのエージェンシーの中でもトップ中のトップ、Creative Artist Agency(通称:CAA)の本社ビル等が威風堂々と立ち並ぶ壮観を眺めることができる。

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 いつものようにEQUINOXのヴァレーパーキングに僕のレクサス・ハイブリッドを預ける。光り輝く僕のブラックレクサス・・・、ちょっと待て。輝きがなんだかイマイチだな。と思ったら、EQUINOXのメインエントランスの前にずらっと並んだ、後光まで差しているかのように見えるあいつらだ。

 世界を股にかける映画会社の若きエグゼクティブや、誰でも知っているようなハリウッドスターを何人もクライアントとして抱える花形エージェントの愛車たち。「マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S」「アウディ R8 GT 5.2 FSI クアトロ」、そして極めつけは「ベントレー コンチネンタル スーパースポーツ」。

 型違いだけれど、『カジノロワイヤル』でダニエル・クレイグ扮する「007」ことジェームズ・ボンドがベントレーを走らせる場面にはしびれたなあ。